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図3
断線しかかっているアース線
  スターターは本体アースのため、考えられることとすれば、エンジン本体〜バッテリー
−端子のアース線の不具合である。(図2参照)
  外観上は問題ないように思われたのだが、アース配線を外して点検してみると、アース線が断線しかかっていた。(図3参照)
  このような場合、配線の状態によっては導通しているときと断線しかかっているときがある。
  サーキットテスターにて導通確認をおこなったところ、ほぼ0Ωと問題ない数値を検出することがあるため、あくまでも大電流が流れている状態で各部の電圧を測定しなければ正しいトラブルシュートができないというのが今回の落とし穴である。
  最後にエンジンがかからないことがあるということで当会に入庫した、平成15年式のマツダボンゴ(SK22V、エンジン型式R2、走行距離16万5千氏jのトラブル事例について紹介する。
  この車両はそもそもが、朝一や再始動時にエンジンクランキング時間が長いということであったのだが、それとは別件でスターターが回らないこともあるという。
  キースイッチをSTART位置にすると、「カチッ」と音がするのだが、クランキングしない。音が出ていることから、プルインコイルにはしっかりと通電されていると推測できる。
  そこで、キースイッチをSTART位置にした状態で各部の電圧を測定してみたところ、B端子には12Vかかっていたのだが、M端子には電圧が出ていなかった。(図4参照)
  つまり、メーン接点の接触不良である。
  以上、3つの事例を今回紹介したわけだが、すべての事例に共通することは、回路を成立させた状態で各部の電圧を測定するということである。
  電気回路を測定するにあたって、システムを十分理解しておくことはもちろん必要であるが、同時に測定条件を満たすということも非常に重要なのである。 《技術相談窓口》

図2

図4 スターター回路
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