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2007年9月
時々エンジンが掛からない (電圧降下の測定が大切)
 クランキングしてもエンジンが掛からない事があるという、’99年式のキャラバン(GE-VPE24、KA20エンジン)のトラブル事例を紹介する。
  始動不能時は、点火火花は飛ばないがフューエル・インジェクタは作動しているようで、スパークプラグは湿っているとの事。
  ディーラーで調べてもらった結果、ダイアグノーシスコード「21」(点火信号系統異常)を表示していたので、イグニッション・コイルの不良が考えられるため、それが内蔵されているディストリビュータAssyの交換をすすめられ、そのとおりにしたが相変わらず不具合が発生するというのが、これまでの経緯である。
  不具合現象は始動不能だけで、エンジン回転中に不調になったりエンストする事はない。
  車を預かって何回かクランキングするが、現象が出ない。
  点火火花だけが飛ばなくて、前述のようにダイアグノーシスコードがその事を物語っているので、点火系に的を絞って点検する必要がある。
  新品に交換したディストリビュータ内には、クランク角センサ、イグニッション・コイル、イグナイタが組み込まれており、点火系統の主要部品のほとんどが取り替えられている事から、これらは原因ではないと考えられる。
  そうなると、電気回路に問題があると推測される。
  サービスマニュアルで点火回路を調べると、「ECCS&イグニッション・コイル・リレー」を経由して、点火1次回路が結線されている事が判った。
  イグニッション・コイルの+端子に電圧計をセットして、キースイッチのON−OFFをくり返していると、時々電圧が低下する事があった。(図参照)
  この部分の通電をカットしてクランキングすると、ユーザーが言うとおりの不具合現象になり、ダイアグノーシスコードも同様の表示をする。
  どうやら、前述のリレーの接点が導通不良になる事があると考えられる。
  リレー接点の接触不良は、接点が閉じた直後に発生しやすく、一度閉じた状態から途中で接触不良になる事は少ない。
  今回のトラブルが始動時のみ発生して、エンジン回転中に不具合が生じない事からも、その事が立証できる。
  電気回路における接触不良の点検方法は、その回路が作動する状態(電流を流した状態)
にした時の電圧降下を測定するのがベストであり、サーキット・テスターの微弱電流を流して抵抗値を測定しても、あまり意味がない。
  特に大きな電流を流す、スターターモータや、グロープラグ等の回路は、わずかな接触抵抗でも影響は大きくなってしまうのである。
《技術相談窓口》
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