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2007年11月
外部診断機を活用したトラブルシュート
 冷機時、エンジンの吹き上がりが悪いという平成15年式サニー(車両型式UA-FB15、エンジン型式 QG15)のトラブル事例を紹介する。
  症状を確認すると、アイドリングではミスしていないのだが、レーシングすると1気筒ミスしている感じがした。
  プラグの焼け具合を調べると、1番、2番シリンダのプラグが少し白っぽくなっていた。これは空燃比が薄いことを意味する。
  外部診断機でデータモニターすると、空燃比の補正値が130%近くあった。
  これは空燃比が薄いので標準より30%の増量をしているということである。
  薄いのであれば、逆に濃くすれば症状が消えるのではないかと思い、同じく外部診断機のアクティブ機能を使い増量してみた。
  すると、レーシング時の吹き上がりは格段とよくなった。
  これらのことにより、1番、2番シリンダの空燃比が薄いことにより、レーシング時などはミスし吹き上がりが悪くなっていると推察された。
  特定のシリンダが薄いとなると、エア吸いかインジェクタの詰まり気味が考えられる。
  ただ、アイドリングでミスがないことより、インジェクタの詰まり気味の方が可能性が高いと思われた。
  インジェクタが比較的簡単に脱着出来そうなので外してみると、インジェクタの噴射孔付近がかなり汚れていた。
  インジェクタは比較的高価な部品なので交換ではなく、インジェクタクリーナで清掃してみることにした。
  外したインジェクタをインジェクタクリーナに一晩漬けておいた。
  翌日、インジェクタの墳孔部分をエアブローして組み付けた。
  エンジンを始動してレーシングすると、全く問題ない吹き上がりとなった。
  やはりインジェクタの詰まり気味が原因のようであった。
  実はこのトラブル、QG15の前身モデルであるGA15でも同様のトラブルを経験したのだが、共にエンジンオイルを入れ過ぎているエンジンにこのトラブルが多いようである。
  エンジンオイルが入り過ぎた場合は、当然、ブローバイガス中のオイル分も多いと思われインジェクタを汚してしまうのである。
  GA15,QG15エンジンは共にこのブローバイガスを還元する場所が、インマニの1番と2番の間なので、1番、2番シリンダのインジェクタが詰まりやすいようである。
  今回は、サーキットテスタでは点検できない空燃比の補正値を外部診断機でモニターしたり、アクティブ機能で強制的に濃くしてみたりと、外部診断機が随分活躍した。
  外部診断機は高価なテスターだが、それに見合う活躍をしてくれた。
  参考までに今回使用した外部診断機とインジェクタクリーナを紹介しておく。
《技術相談窓口》


【外部診断機】
大分県自動車整備商工組合扱い
HDM−3000(日立モバイル)
【インジェクタクリーナ】
日産アルティア扱い
品 番 99990−10017
容 量 500cc

※インジェクタクリーナの本来の使い方は、これを燃料タンクに入れておき、燃料と一緒に噴射をしてインジェクタや吸気系の清掃をするものです。よって、今回の使い方が正しいとは言えません。
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