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2008年12月
やはり基本が大事

 車は平成13年式エブリィ(車両型式LE・DA62V、エンジン型式K6A)で、エアコンのアイドルアップが効かないというトラブル事例。
  症状を確認すると、確かにエアコンをONしてもアイドルアップしない。逆にアイドル回転が下がるくらいである。
  まずはダイアグノーシスを点検したが正常コードを表示。
  次にアイドル回転制御を行っているISCVの電源、単体点検を行ったが問題なかった。
  外部診断機のデータモニター機能で制御の状態を調べたが、正しく制御は行っているようだった。
  こうなると、アイドルアップしないのではなく、エンジン本体のトルク不足でアイドルアップ出来ないのではないかと思われた。
  空燃比の補正状態を調べたが95%〜100%くらいで増減を繰り返しており、特に問題になるほどではなかった。
  どうもエンジン本体の問題のようだったので、インマニ負圧を測定すると−400mmHgしかなかった。
  いくら3気筒の軽自動車とはいえ−400mmHgとは負圧が足りない。
  バルブタイミングが狂った場合もこんなトラブルが発生するが、このエンジンはタイミングチェーンを使っているので、その可能性は低いと思われた。
  もしかしたら、1気筒ミス気味なのかもしれないと思い、もう一度現象を確認すると、やはり回転のバラつきが大きいような気がした。
  最初はアイドル回転が低すぎるせいかと思っていたが、念のためパワーバランステストを行った。
  すると、2番シリンダがミス気味だったことがわかった。
  基本である圧縮を測定すると、1番と3番シリンダは約15kg/cm2あったが、2番シリンダは9kg/cm2しかなかった。
  どこから漏れているかを調べるため、リークテストを行うと、2番シリンダの排気バルブということが判明した。
  バルブクリアランスを点検すると、全体的によくなかったが、特に2番シリンダの排気は0.12mmと0.07mmとかなり小さかった。
  バルブフェースかバルブシートの磨耗と思われた。当然、当たりもよくないはずである。
  バルブの当たり修正とバルブクリアランスの調整、もしくはシリンダヘッドASSYでの交換が必要である。
  現象確認と圧縮圧力の点検、バルブクリアランスの点検と基本中の基本で原因の究明ができた。
  軽自動車や貨物車までもが、コンピュータを使っている時代になり、燃料噴射制御、点火時期制御、アイドル回転制御とシステムが複雑化してきたが、どんなにシステムが進化しようが基本が大事だということには変わりはない。
《技術相談窓口》

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