最近、空燃比の状態を判断するセンサの名前で、一般的によく聞くO2センサの他に、A/F センサ(エー・バイ・エフ・センサ)やLAF センサ(ラフ・センサ)という名称を耳にする機会はないだろうか?
近年は当会の技術相談窓口にも、「A/F センサとは何か?」「LAF センサとは何か?」という問い合わせが増えてきたように感じる。
詳しい説明は省略するが、O2センサの出力特性は図1のようになっており、空燃比が濃いと1V 弱の電圧を、空燃比が薄いとほぼ0Vに近い電圧を出力するようになっている。
これに対して、A/F センサやLAF センサは全領域空燃比センサーで、空燃比の状態を判断するという役割こそ同じであるが、出力特性は全く異なる。
ここでも詳しい説明は省略するが、A/FセンサやLAF センサは、センサに流れる電流値の変化により空燃比を測定している。
ホンダ車のLAF センサを例にすると図2に示すように、空燃比が濃くなれば濃くなるほどセンサに流れる電流が小さくなり、空燃比が薄くなれば薄くなるほど流れる電流は大きくなるという特性だ。(メーカーや車種により構造や特性は異なるので、注意が必要)
O2センサでは空燃比が濃い又は薄いのどちらかしか判断できなかったものが、A/F センサやLAF センサでは、どのくらい空燃比が濃いか薄いかがリニアに判断できるようになっている。
つまりは、O2センサの高性能版のようなものといえる。
O2センサもA/F センサ、LAF センサもヒーター回路を含めて4本線と同じものもあるが、中には5本線タイプもあるため、配線の数が5本以上であればO2センサではないと判断できる場合もある。
O2センサの信号電圧だけを頭に入れておくと、A/F センサやLAF センサ付の車両が入庫した時に間違った判断をする可能性があるので注意して頂きたい。
なお、A/F センサやLAF センサは電流値の変化で空燃比を判断するわけだが、O2センサのようにサーキットテスタを使用しての良否の判断は難しいため、外部診断機を使用してのデータモニターが必要となる。
自動車技術の進歩に伴い、ますます外部診断機の必要性が高くなってきている。
〔トラブル事例〕
アイドル不調の平成17年式アルファード(車両型式ANH10W、エンジン型式2AZ)。
ダイアグコードP0171(空燃比リーン異常)を記憶していたので、診断機のデーターモニターで空燃比の学習値、補正値を調べると、それぞれ+30〜40%と増量していた。
次にA/F センサを調べると、約5V とリーン状態だった。(トヨタはA/F センサの電流値をわかりやすいように診断機で電圧表示に変換している)
このことから、A/F センサが薄いというリーン信号を出力しているので、増量しているということがわかった。
しかし、どうも排気ガスが臭い。排気ガステスターでCO・HC を測定するとCO は10%をオーバーしていた。
排気ガステスタからは濃いという結果だが、A/F センサは薄いという間違った信号を出力しているということになる。
A/F センサの不良なので交換。 |