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2012年8月
30系プリウスに関する作業上の注意点パートI

平成21年5月に発売されたZVW30系プリウスが爆発的に売れたのは記憶に新しいことと思います。

発売から3年が経過し、1回目の車検が入庫しているようです。

一番気になるところは、ブレーキフルードの交換作業だと思われます。

これまでのプリウスは、基本的に外部診断機が必要でしたが、30系プリウスには外部診断機が無くてもブレーキフルードの交換が出来る機能(ブレーキ制御禁止モード)が備え付けられています。

そこで今回は、30系プリウスの次の作業について2回に分けて紹介します。

1.ブレーキフルード交換作業

2.制御禁止モードヘの移行方法

3.ブレーキフルード車上点検

4.ダイアグノーシスの点検方法

5.ダイアグノーシスコードの消去方法

6.整備モードヘの移行方法

7.その他の注意事項


1.ブレーキフルード交換作業

@ブレーキ制御禁止モードにする(「2.ブレーキ制御禁止モード移行方法」を参照)

AブレーキフルードがリザーバタンクのMAX-MIN 間にあることを確認。不足している場合は補充する。

※作業中、ブレーキフルードが増えることがあるので、フルード缶はリザーブ注入口に立てない。

Bブレーキペダルをペダリングし、フロントキャリパのブリーザプラグからフルードを抜き取る。

※リザーバ内のフルードがMIN レベル以下にならないように注意。万一、ブレーキフルードの補充を忘れエアが混入した場合は、エア抜き作業には外部診断機が必要となる場合があるので、十分注意すること。

C抜き取り終了時、ブレーキペダルを踏み込んだ状態でブリーザプラグを締め付ける。

Dブレーキペダルを踏み込んだ状態でリヤキャリパのブリーザプラグを緩める。(ブレーキペダルを踏んだまま保持)

※ブレーキフルード交換中に、ポンプモーターの駆動を100秒以上連続行うと、ダイアグノーシスコードが記憶される場合があるので、100秒以内にブレーキペダルを離し一旦停止させる。

※リザーバ内のフルードがMIN レベル以下にならないように注意。

E抜き取り後、ブリーザプラグを締め付ける。

FIG OFF にする。(ブレーキ制御禁止モードは自動的にOFF になる)

Gブレーキフルード交換後は、フルード量点検を行う。(「3.ブレーキフルード量点検」を参照)


2.ブレーキ制御禁止モード移行手順

※以下の作業を1分以内に行う。

※ブレーキ制御禁止モードは、フルード交換作業を行うときであり、ブレーキホース交換時やブレーキキャリパ交換時のような、エア抜き作業時には行わない。

※ブレーキ制御禁止モード移行中にブレーキディスクロータを回さない。

@ブレーキペダルを踏まずにプッシュスタートスイッチを2回押し、IG ON にする。(シフトポジションがP であることを確認)

Aブレーキペダルを踏んだまま、シフトポジションをN にし、ブレーキペダルの「踏み込み・開放」を5秒以内に8回以上行う。

BP ポジションスイッチを押し、シフトポジションをP にし、ブレーキペダルの「踏み込み・開放」を5秒以内に8回以上行う。

Cブレーキペダルを踏んだまま、シフトポジションをN にし、ブレーキペダルの「踏み込み・開放」を5秒以内に8回以上行う。

DP ポジションスイッチを押し、シフトポジションをP にする。

Eブレーキウォーニングランプが点滅していれば、ブレーキ制御禁止モードへの移行は完了。点滅しなければ、初めからやり直し。

※ブレーキ制御禁止モードにすると、ブレーキウォーニングランプが点滅したり、ブザーが吹鳴するが異常ではない。

※以下の条件を満たすと、ブレーキ制御禁止モードは解除され、ダイアグノーシスコードを記憶する場合がある。その場合は、「5.ダイアグノーシスコードの消去方法」を行う。

 

シフトポジションがP 以外
READY ON
パーキングブレーキ解除
IG OFF
車速0km/h 以外


【注意とお願い】

ブレーキ制御禁止モードヘの移行手順は、パーキングブレーキを作動させていないと、移行できませんので注意してください。

また、ブレーキ制御禁止モードヘ移行後、ブレーキフルードの交換作業を行わずに走行しますと、ABS 警告灯が点灯しダイアグノーシスコードC1451とC1345(ランプ点滅によるコード66と72)を表示することがあります。

この場合、ブレーキフルードを交換し、リニア弁オフセット学習を行わないと、異常コードの消去ができません。

ブレーキフルード交換作業以外でブレーキ制御禁止モードヘの移行手順は行わないでください。


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