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2005年3月
アクセルペダルに反応しないエンジン回転 |
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アクセルペダルを踏んでも、エンジン回転が変化しなくなることがあるという、平成11年式カローラバン(車両型式KE-CE107V,エンジン型式3C−E)のトラブル事例を紹介する。
通常のジーゼルエンジンは、アクセルペダルの動きはアクセルワイヤーを経由してインジェクションポンプのレバーに伝わり、エンジン回転が変化するというふうに、アクセルペダルの動きは機械的にインジェクションポンプに伝わるようになっている。
よって、アクセルペダルを踏んでもエンジン回転が変化しない時は、アクセルワイヤーの断線かインジェクションポンプの不良ということになる。
ただし、今回のように時々悪くなるというのであればインジェクションポンプが不良と考えられるが、この車のエンジンは、電子制御式ジーゼルエンジンであり、アクセルペダルの動きは、機械的にはインジェクションポンプには伝わらないシステムになっている。
アクセルペダルの動きは、ペダルのところにあるアクセル開度センサ
(図1)を動かし、その信号がエンジンのECUに入力される。ECUはこの信号を元に他の信号から補正を加え、インジェクションポンプにある電磁スピル弁に信号を出力する。その信号により燃料噴射量が変わりエンジン回転は変化するようになっている。
(図2)
逆にいえば、アクセルペダルを踏み込んでもアクセル開度センサの信号がECUに入力されなければエンジン回転は変化しないのである。
ただし、アクセル開度センサの信号がECUに入力されなくなると、フェイルセーフにより、アイドル全閉スイッチOFF時には若干エンジン回転が上がるようになっている。
なお、A/T車のアクセルペダルにはワイヤーがあり、エンジンルームのレバーを経由してミッションの方に繋がっているが、これはA/Tの変速用に使っているだけで、エンジンの回転には全く影響は与えない。
よって、エンジンルーム内にある、ワイヤーのかかっているスロットルレバーに似たレバーを動かしてもエンジン回転は変化しないのでご注意を。
(図3)
説明が長くなったが本題に入る。トラブルはたまにしか発生しないということで、車を持ってきた時は問題なかった。
症状から、原因の推定はできたが、とりあえずダイアグノーシスを点検することにした。
ダイアグノーシスコネクタのTc端子とE1端子を短絡させて、メータ内のチェックエンジンランプの点滅回数を調べようと思ったが、ランプが点滅しない。
Tc端子電圧を測定すると0Vである。通常はこの端子には12Vがかかっており、E1端子と短絡することにより0Vになり、ダイアグノーシスモードに切り替わるようになっている。