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2005年12月
システムとその構造を熟知する事が大切
 走行中に突然エンストしたり、始動時になかなかエンジンが掛からない事があるという、'92年式のヴィヴィオ(E-KK3、エンジン型式EN07、走行4万5千氏jのトラブル事例を紹介する。
 ユーザーの話では、50肢ネ上走った時に発生しやすいとの事である。
 診断を依頼してきた工場のメカニックが、一度だけ不具合現象を確認しており、その時におこなった基本点検の結果、点火火花が飛んでいなかったとの事。
 その事を受けて、イグニッション・コイルとディストリビュータ内のイグナイタを交換して試運転をおこなってみると、2日後に不具合が再発してしまった。
 その場で基本点検をおこなったところ、以前と同様に点火火花が飛んでいなかったらしい。
 電子制御燃料噴射方式では、クランク角センサからのエンジン回転信号が正しくECUに入力されないと、「点火火花」と「フューエル・インジェクタ」の両方が作動しなくなるので、基本点検の際にはその2つを同時に調べる必要がある。
 今回の場合は、フューエル・インジェクタの作動音があって、スパークプラグも湿っている事から、点火系統だけの故障と推測される。
 不具合現象がいつ発生してもいいように、イグニッション・コイルの1次回路に電圧計とオシロスコープをセットしてスタンバイした。
 待つこと1時間余り、ようやく不具合現象が発生したのでその時の様子を観測すると、1次電圧波形に異常が見つかった。
 図1に示すように、1次コイルに通電後イグナイタがOFFした瞬間に発生するはずのサージ電圧が無い。
 これは、イグナイタの不良と判断せざるをえないが、前述したようにイグナイタは交換したと言っていたので、ディストリビュータ内部を点検してみると、そこにはクランク角センサ用のピックアップコイルしか見あたらず、交換したのはそれであるとの事。
 では、イグナイタはどこにあるのだろうか。
 イグニッション・コイルのマイナス端子に接続されている配線の色を辿っていくと、運転席ダッシュサイドにある、ECUに同じ色の配線があり、オシロスコープで調べると同じ波形が現われた。
 この事から、当時のダイハツ車と同じように、ECU内にイグナイタを内蔵している事が判った。(図2)
 従って今回のような場合は、ECUを交換しないと不具合は解消しない。
 イグナイタはディストリビュータの中にあるものだという先入観を持っていると、このような誤った判断をしてしまうので、その部品の役割と形状および構造を知っておく事が重要である。
《技術相談窓口》

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