2006年5月
「O2センサ信号系異常」のトラブルIII
(同じダイアグノーシスコードでも診断内容が違う場合がある) |
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平成14年式カローラバン(車両型式EE102V、エンジン型式4E−FE)のチェックエンジンランプが点灯するというトラブル事例を紹介する。
ダイアグノーシスを点検しようとしたが、ダイアグノーシスコネクタ(以下ダイアグコネクタ)が見当たらないということで電話相談があった。
通常、ダイアグコネクタは運転席側ダッシュパネル下にあることが多い。特にトヨタ車のほとんどが運転席側であり、特にステアリングシャフトより右側である。
しかし、運転席及び助手席側にもないという。正面から見えにくい場合もあるので、足元から上を覗くよう説明したがそこにも無いという。
平成14年式であれば、全メーカー共通のダイアグコネクタがあるはずだと思い資料を調べると、なんと運転席シートの下にあるようになっていた。シートの下とはトヨタ車はおろか他のメーカーでも聞いたことが無い。
依頼者にシートの下を調べてもらうと確かにダイアグコネクタがあった。ダイアグノーシスを調べると、ダイアグノーシスコード(以下コード)は「21」(O2センサ系)を表示したらしい。
本誌2005年6月号、7月号で「O2センサ系異常」のトラブル事例を紹介しており、その中で「O2センサ系異常」を表示してもO2センサが悪いわけではなく、インジェクタの詰まりやエアフロメータの不良が考えられるとあるがどこから点検すればいいかという電話がかかってきた。
確かに本誌のトラブル事例では、空燃比のリーン(薄い)異常の原因となる、インジェクタの詰まりやエアフロメータの不良を紹介したが、それは同じO2センサ系のトラブルでもダイアグノーシスコード「25」(リーン異常)の場合である。
よって今回のようにコード「21」の場合は、空燃比の狂いとは限らない。
トヨタ車のコード「21」は、コード表(表1)にもあるように、O2センサ信号系統に異常があった場合かO2センサヒータ系に異常があった場合にコード表示をするようになっているからである。(エンジンよってはO2センサヒータがないものがある)
ではどうやって調べればいいかというと、チェックエンジンランプの点灯状態によって変わってくる。
エンジン始動直後やアイドリング状態で点灯し、コード「21」を表示したのであれば、まずはO2センサヒータから点検すべきである。
何故かというと、O2センサ信号異常の場合は、ある走行条件でセンサ出力電圧に変化が無い場合に異常と判断するので、走行しなければ異常検出ができないからである。
もっと正確に判断するには外部診断器が最適である。外部診断器を使うと、4桁のSEAコード及び内容を表示してくれる。それも、ダイアグコネクタを短絡して表示するコード「21」は、コード「P0131」(O2センサ応答性不良)、コード「P0135」(O2センサヒータ回路異常)と外部診断器では具体的に表示してくれるのである。(表2)
車を持ってきてもらい、外部診断器でダイアグコードを調べると、コード「P0135」(O2センサヒータ回路異常)を表示した。
念のため、O2センサヒータの抵抗を測定すると、∞Ωだった。(点検方法は図1)当然交換が必要である。
最近、トヨタ車に限らず他のメーカの車でも、このO2センサヒータのトラブルは起きているようである。
≪技術相談窓口≫
【参考】
O2センサヒータの役目は、暖機途中の空燃比フィードバックの開始を早めることで暖機過程の燃費向上を図ることと、軽負荷時のジルコニア素子の温度が一定になるようにして、O2センサ信号の精度を上げることである。