2006年7月
補助電動ファンが作動するのは… |
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例年この時期になると、FR車のラジエータの後ろやコンデンサの前に取り付けられた、電動ファンが回らないという相談があるが、そのほとんどが故障ではない事例が多いので、今回はその事について説明する。
車は'93年式のローレル(E-GC34、エンジン型式RB25)の相談内容である。
エアコン・スイッチをONにしても、前述の電動ファンが回らないので、故障ではないかとの問い合わせである。
その時のエンジンの状況を尋ねると、アイドリングでエアコンを入れて、ボンネットは開けた状態との事。
一般的にFF車のクーリング・ファンは、そのすべてが電動式であるのに対し、FR車はベルト駆動の冷却ファンが装着されているので、通常の場合はそのファンで冷却はまかなえるため、電動ファンを併設している車は少数である。
FF車のように電動ファンしか設けられていない場合は、エアコン・コンプレッサがONすると、それに連動して電動ファンが作動するようになっているが、FR車の電動ファンは制御の仕組はFF車の場合とは異なっている。
FF車の制御が普通と思っていると、今回のようにコンプレッサが回っているのに、電動ファンが作動しない事を故障と考えてしまうのであろう。
実はFR車の電動ファンは、あくまでも補助的な役割であって、メインはベルト駆動のファンであり、それが作動する条件と回路は図に示すとおりで、エンジンの熱負荷が増大した時のみ作動するようになっている。
ラジエータ出口温度が90℃以上という事は、入口側の温度は100℃以上になっていると想像する。
このような状況では、メインの冷却ファンだけの風量では充分な冷却ができなくなるので、こういう時のために電動ファンが応援する訳である。
特に停車中のアイドル運転でエアコンを使う場面では、熱負荷が大きくなるので電動ファンが作動する機会は増えてくる。
従って、電動ファンが作動するかどうかは、前述の条件にしてやらないと点検できないのである。
車によっては、冷却水温だけではなく、エアコン冷媒サイクルの高圧側圧力が規定値以上になった場合も、電動ファンが作動するようになっているものもあるので、注意が必要である。
ちなみに、日産車以外のFR車でも同様のシステムになっているので参考にしてもらいたい。
不具合かどうかを疑う前に、システムを正しく理解する事が先決である。
《技術相談窓口》