2007年1月
人為的なミスで消灯しなくなったABS警告灯 |
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ABS警告灯が点灯しっ放しになっている'97年式のホンダCR-V(E-RD1、エンジン型式B20B、走行距離5万km)のトラブル事例を紹介する。
中古車販売店から整備工場へ修理依頼があったものだが、お手上げになって当会に持ち込まれてきた。
ダイアグノーシス用のSCSカプラを短絡してみると、警告灯は相変らず点灯したままで、コード表示しなかった。
この時点で判る事は、ABS・ECU又は電源およびアースに問題があるという事である。
ABS・ECUのカプラ部分で電圧を測定してみると、電源端子に電圧が来ていない事が判った。
配線図で回路を調べていくと、エンジンルーム内にABS回路単独のヒューズやリレーが組み込まれたブロックに辿りついた。
さっそくその部分で電圧を測定してみると、ここにも電圧が発生していなかった。
ここより上流側となると、バッテリーのプラスターミナルまでの間しかなく、1本のワイヤハーネスの行き先を辿ると、カウルパネル部でボルト止めされていた。
これでは電圧が来ないのも当然である。
このワイヤハーネスは、バッテリーのプラスターミナルに直接取り付けるようになっているのだが、過去になんらかの整備をおこなった時に、アース端子と思ってボディに取り付けたものと考える。
端子を元に戻してやると、警告灯は正常に作動するようになった。
修理はこれで終ったが、なぜ電源端子に電圧が来ないのに警告灯が点灯したままになるのかを考える必要がある。
メーカーの資料を見ても、ECUの内部回路は示されていないので詳細は不明であるが、起きている事実から推測すると、図に示すような論理回路であると思われる。
ABS警告灯をON-OFFする回路は、コンビネーション・メータ内にあって、そこへ信号を送るのがABS・ECUの役割である。
ABSは、センサやアクチェータに異常があった場合に、警告灯が点灯するようになっているが、ABS・ECU自体の電源やアースが正常でない時も、ABS制御できなくなるので警告する必要がある。
したがって、今回のように電源系統に問題がある場合でも、警告灯は消灯しなくなる訳である。
このような人為的ミスによる不具合を防ぐためにも、電源端子をバッテリーターミナルに直付けする方式ではなく、メインヒューズから分岐するような、バカ除けを施してもらいたいものである。
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