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2009年5月
アイドリングから変化しない電子制御ディーゼル・エンジン

 アクセル・ペダルを踏んでも、まったくエンジンが吹き上がらないという'05年式の日産キャラバン(KR-VWE25、エンジン型式ZD30、走行距離15万km)のトラブル事例を紹介する。
  エンジンを始動してみると、アイドリングは安定しているが、メーターパネル内のエンジン警告ランプが点滅している。その状態からアクセル・ペダルを踏み込んでみると、アイドリング回転のままであった。
  一度エンジンを停めて再始動すると警告ランプは消灯し、アクセル・ペダルを踏むとエンジンは吹き上がるようになった。
  しかし、何回かレーシングを繰り返していると、不具合現象が再現した。ダイアグノーシス・コードを調べたところ、「43」を表示した。これは、アクセル・ポジション・センサ信号系の異常を示すものである。
  ZD30型エンジンは、図1に示すようにECUを2個用いた電子制御式ディーゼル・エンジンである。さっそくアクセル・ポジション・センサを調べるためにペダル部分を覗いてみると、そこにはセンサらしき物は存在していない。
  ペダルレバーの先端から伸びているワイヤの行き先をたどっていくと、ステアリングコラムの横にそれらしき物を見つけた。
  センサのカプラに電圧計のテストリードを差し込んで信号を調べてみると、電圧の変化がみられなかった。
  部品をオーダーすると、「アクセル・ワーク・ユニット」と称するその部品には、センサの他にアイドルスイッチとフルスイッチが内蔵されていた。(図2参照)。
  以前のようにアクセル・ペダル部分にセンサが設けられている場合、今回のようにセンサ不良が原因で部品を交換する時に、ペダルAssyでの供給になるため、できるだけ分散化して低コストを目指したものと推測する。

《技術相談窓口》

 
図1.電子制御式のディーゼルエンジン・システムの概要
 
図2.べダル部とは別に設けられた「アクセル・ワーク・ユニット」(上)
と従来のペダル一体型アクセル・センサ(下)
 
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