COを10%程排出するという、平成15年式ハイゼット(車両型式LE-S200V、エンジン型式EF-VE)のトラブル事例を紹介する。
担当のメカニックに話を聞いてみると、エンジンチェックランプは点灯しておらず、センサー系の電気的なトラブルではないと思うとのことであった。
当会が所有している日立製の外部診断機HDM3000を車両に接続し、アイドリング時のデータモニタをおこなったところ、アイドリング時にO2センサーが反応していなかった。
エンジン回転を3000回転ほどに上げO2センサーの反応を調べたところ、正常に反応することから、O2センサーヒーターが作動していないのではないかと思われた。
ダイアグノーシスコードを確認すると、「P0135」(O2センサーヒーター断線)を記憶していたが、エンジンチェックランプは点灯していない。
過去の故障コードであろうかと思いながらも時間がなかったため、まずはO2センサーを交換するように説明して診断を終えた。
O2センサーヒーターが正常に作動していないように思えたのだが、なぜエンジンチェックランプが点灯しないのだろうかと考えていたときにハッと閃いた。
急いで先方に電話し、「キーON時にエンジンチェックランプは点灯しますか?」と問い合わせたところ、点灯しないという。
これで全てがつながった。
O2センサーヒーターが断線し、エンジンチェックランプが点灯するようになったが、エンジンの不具合を感じないために球を抜いていたのである。
O2センサーヒーターの断線は確かに不具合を感じないが、球を外してしまうと、万が一重大な故障が発生しても運転者に異常を警告できなくなってしまう。
もし運転者が球を外していることを知らずに重大な事故が発生すると、責任問題にも発展しかねない。
また、O2センサーヒーターが断線し不具合を感じなくても、今回のようにCOが10%も検出されるようであれば、燃費はかなり悪くなっている。
そのことをユーザーに説明し、修理を行うのが整備士の役割ではないだろうか。
安易で安価な方法に走ってしまえば、いつか必ずツケが回ってくる。
自分自身に改めて戒めを喚起する事例であった。
最後に、ダイハツ車のO2センサーは一部保証期間が延長されているため、平成21年5月号の技術情報を参照して頂きたい。 |