チェックエンジンランプが点灯したので外部診断機でダイアグノーシスを点検したところ、コードP0155(O2センサーヒータ系断線B2S1)を表示したという平成16年式クラウン(車両型式CBA-GRS185、エンジン型式3GR)のトラブル事例を紹介する。
原因はダイアグノーシスが教えてくれている通りO2センサーなのだが、このエンジンはV 型6気筒エンジンで左右バンクにO2センサーが付いており、おまけに各バンクの触媒の前後にO2センサーが付いているというのである。
つまり合計4つのO2センサーが付いており、どのO2センサーが悪いのだろうかという問い合わせである。
通常、外部診断機でダイアグノーシスを点検すると、ダイアグコードと共にコード内容を表示するが、O2センサー系のトラブルの場合、O2センサーの数に関係なく不具合のあるバンクを表示する診断機が多い。
問い合わせのあった工場の診断機も「B2S1」と表示していたようだ。
では、この「B2S1」というのは何を意味するのかというと、B はバンクの位置を表し、B1だとバンク1のことでありB2だとバンク2のことを指す。
ただバンク1と言われても、どのバンクを指すのかわからない。
いろいろと調べた結果、バンク1とは1番シリンダがあるほうのバンクを指すようである。逆に1番シリンダが無い方がバンク2である。
一般的に左右バンクがあるのはV 型エンジンと水平対向エンジンである。
各メーカーの1番シリンダを調べた結果、面白いことがわかった。
まず、V 型6気筒エンジンはトヨタ、日産、ホンダ、三菱、マツダ、スズキが採用しており水平対向エンジンはスバルが採用しているが、これらのエンジンは、全て右バンクがバンク1で左バンクがバンク2になっていた。(図1)
ここでいう左右バンクとは、フライホイール側からクランクプーリー側を見た場合の左右を差すのでお間違えなく。
これが、V 型8気筒(トヨタと日産)になると左バンクがバンク1となり右バンクがバンク2となる。(図2)
つまりV6及び水平対向は右がバンク1、V8は左がバンク1となる。
余談だが、シリンダの番号についても面白いことが分かったので紹介する。
ホンダ車以外は、右バンクが1、3、5番シリンダ、左バンクが2、4、6番シリンダであり、点火順序は1−2−3−4−5−6となっているのに対して、ホンダ車は右バンクが1、2、3番シリンダ、左バンクが4、5、6番シリンダになっていた、また点火順序は1−4−2−5−3−6となっている。(図3・4)
参考までにV8及び水平対向エンジンについては図5〜図7に示す。
シリンダの番号はクランクピンの順番と考えると、ホンダ車はおかしいような気もするが、特に決まりは無いのであろう。
さらに余談だが、V 型エンジン及び水平対向エンジンは、それぞれの図のように、バンク2よりもバンク1の方が少しだが前に出ている。
これは1番シリンダのクランクピンがクランクシャフトの先頭にあるので、こうなるわけである。
当然、インマニやプラグ、インジェクタの取り付け位置も左右で違うのではないかと思い、数台のエンジンを調べた結果、予想通り若干だがずれていた。
これらのことからもバンク1を推定することは可能である。(だだし、最近のエンジンのようにカバーで覆われている場合は難しい)
なお、今回の記事については、当方で調べた結果であり、例外があるかもしれないということをご了承願いたい。
また、今後発売されるエンジンについて当てはまるかどうかは不明である。 |