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2010年6月
O2センサーに関するトラブルパート II

先月号ではダイアグコードP0155(Oセンサーヒータ系断線B2S1)を表示したという平成16年式クラウンのトラブル事例で、「B2S1」の「B」であるバンクについてV 型エンジンや水平対向エンジンについて説明したが(1番シリンダのあるほうがバンク1)、直列エンジンでも同じことが言える。

例えば、トヨタの1JZ(直列6気筒)では、1〜3番シリンダのエキゾーストマニホールドが途中で合流しているところにOセンサーがあるが、こちらは1番シリンダにつながっているので、これがバンク1のOセンサーということになる。

そして、4〜6番シリンダのエキゾーストマニホールドが合流したところにあるのがバンク2のOセンサーということになる。

また、スズキのG13B(直列4気筒)では、1番と4番シリンダのエキゾーストマニホールドが合流したところにあるのがバンク1のOセンサーであり、2番と3番シリンダのエキゾーストマニホールドが合流したところにあるのがバンク2のOセンサーである。

つまり、全てのエンジン(V 型、水平対向、直列型)は、1番シリンダにつながっているほうがバンク1であり、そうじゃない方がバンク2ということになる。

バンクについては以上だが、「B2S1」の「S1」について説明する。

S1とはセンサー1を示し、これがS2だとセンサー2を指す。

センサー1とは触媒の前(エンジン側)にあるOセンサーのことをいい、センサー2とは触媒よりも後ろ(マフラー側)にあるOセンサーのことをいう。

これらのことから、今回のトラブルコードP0155(Oセンサーヒータ系断線B2S1)とはバンク2センサー1のOセンサーヒータ系、つまり左バンクの触媒の前にあるOセンサーヒータ系に断線があるということを教えてくれているのである。(図1)



次はOセンサーヒータについて説明する。Oセンサーとは排気ガス中の残存酸素濃度を測定するセンサーだが、このセンサーはある一定以上の温度にならないと作動しない。

そのために、電熱ヒーターを設けており、冷機時でもすぐに作動するように温度を上げている。

特に平成12年排出ガス規制以降のほとんどの車にヒーター付きのOセンサーが採用されており、このヒーターが断線すると警告灯が点灯するようになっている。

残念ながらこのヒーターは比較的壊れやすく、ダイハツ車では保証延長が出ているくらいである。(本誌昨年8月号でも紹介済み)

このヒーターの点検方法だが、多くの車には4本線タイプ(中には3本や7本がある)のOセンサーが使われている。

4本のうち2本がヒーターなので、抵抗を測定すれば良否の判断が出来る。

どの端子がヒーターなのかは車によって違うが、当方で数十種類の車を調べた結果では、センサー側の配線の色が同じもの同士がヒーターのようである。

例えば、NTK 製でセンサー側の配線の色が、白・白・黒・灰の場合、白同士がヒーターである。

また、デンソー製で黒・黒・青・白の場合、黒同士がヒーターだった。

これらは主にトヨタ車と日産車でサンプルを採ったものなので、違う色もあるかもしれない。

間違いない点検の方法としては、4つの端子の全ての組み合わせ(6通り)で抵抗を測定すれば、良否の判定はできる。

6通りのうち、1つだけヒーターの抵抗が出て、他の5通りでは∞Ωであれば正常である。

ちなみにヒーターの抵抗値はエンジンによって様々であるが、どのメーカーも3〜15Ωの範囲に入っているようである。

Oセンサーの種類、回路、配線パターン、点検方法を参考にしていだだきたい。

なお、今回の記事についても、当方で調べた結果であり、例外があるかもしれないということをご了承願いたい。

また、今後発売されるエンジンについて当てはまるかどうかは不明である。


《技術相談窓口》




「Oセンサーヒーターの点検方法」

  • 単体点検は、Oセンサーのコネクタを外し、センサー側で同じ色の配線同士の抵抗を測定。
  • 念のため、全ての組み合わせで抵抗を測定。(4本線タイプは6通り、3本線タイプは3通り)
  • Oセンサーヒーターの上流に、ヒューズが入っている車種があるので、ヒーター回路のダイアグ表示をしたにも関わらず、ヒーターが断線していない場合は、ヒューズを点検する必要がある。

※ヒーターの抵抗値は大体3〜15Ω(基準値はメーカーによって違う)


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