継続検査を受けるために国の検査場を訪れた際に、『駐車ブレーキのレバーを引いた時にブレーキ警告灯が点灯しない』ということで再検になった、平成2年式のスズキ・キャリー・トラックの(M-DB51T、エンジン型式F6A)の顛末を紹介する。
2年位前からシートベルト未装着の警告ランプの作動状態を検査時に調べるようになったが、最近は他のランプも調べるようになったようである。
駐車ブレーキレバーの近辺を点検するもスイッチが見当たらず、取り外した様子もない。
メーターパネルをよく見ると、ブレーキ警告灯は確かに存在している。
このランプは、ブレーキレバーの操作以外にブレーキフルードが不足したときにも点灯するようになっているはずなので、リザーバタンクに設けられているスイッチを強制的にON させてみると、これまで一度も点灯しなかったブレーキ警告灯が点灯した。
ブレーキレバー部以外にスイッチが有るのかもしれないので、後輪ブレーキドラムまでの間をくまなく探してみたが、どこにも見当たらなかった。
年式や車種を考慮すると、もしかしてスイッチは最初から付いていないのかもしれない。
その時期の当該車輌の資料は無く詳細は不明だが、駐車ブレーキ作動時の警告灯に法的強制力が有るのかどうかを調べてみた。
保安基準第12条の制動装置に関する条文を読んでみると、使用過程車に関する細目告示のなかに、表に示す記述があった。
要するに、リザーバタンク内のブレーキフルードが不足した場合は、そのことを警告しなければならないが、駐車ブレーキを作動させた時については任意なのである。
したがって、必ずしも駐車ブレーキレバーを引いた時に警告灯を点灯させる必要はないということになる。
年式の近い同一メーカーの他車の配線図を調べてみると、図に示すようになっていた。
この事を検査場で説明するように受検者に伝えて、あらためて受検してもらったところ、有効期間の更新ができたとの連絡があった。
あるのが当たり前のように思っている装置のことを、あらためて問われると答えに窮するが、時には規則についての勉強の必要性を再確認させられた次第である。 |