エンジン始動後もABS 警告灯が点灯したままになるという、平成9年式のシーマ(EFGY33、エンジン型式VH41)のトラブル事例を紹介する。
この時期の車はABS アクチュエーターとECU が別々になっているので、真っ先に中古品のECU と交換してみたが、相変わらず警告灯が消えないので相談窓口に電話がかかってきたもの。
グイアグノーシスの方法を伝えて調べてもらうと、「61」(ABS アクチュエーターモーター及びモーターリレー系路の異常)を表示したとの返事があった。
エンジン始動後、一度もモーターが回らないので、今度はいよいよアクチュエーターを交換しなければならない状況なのかと心配して連絡が入ったが、まだこの時点ではモーター単体なのか、リレーを含めた回路の故障なのかは特定できない。
DTC「61」を検出する仕組みは、エンジン始動後にシステムのイニシャルチェックのために、図1の28番端子が一定時間(1秒弱)グランドされ、その時に18番端子にバッテリー電圧が発生するかどうかでおこなっている。
イニシャルチェックの時にこのことを点検するのは困難なので、イグニッション・スイッチをON にした状態で28番端子をジャンパ線を使ってグランドして、18番端子の電圧を測定してもらったところ、リレーの作動音はあるが電圧はゼロV のままであるとのことだった。
リレーを外して、接点上流側の電圧(V1)が正常であることを確認し、リレー交換後は警告灯が消灯するようになった旨の連絡をもらった。
モーターにはかなり大きな電流が流れるので、リレーの接点が電流アークによって焼損したものと推測する。
最近の車のABS は、図2のようにアクチュエーターとECU が一体になっており、リレーも機械的なものではなく、半導体がECU 内に組み込まれているので、どれが悪くなってもアッセンブリーでの交換になってしまう。
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