スロットルボデー清掃後、アイドル回転が高すぎてハンチングを起こすという平成13年式プリメーラ(車両型式TA-TP12、エンジン型式QR20)のトラブル事例を紹介する。
スロットルボデー清掃後にアイドル回転が下がらなくなるトラブルについては、本誌2006年10月号でも紹介したように、日産車で電子制御式スロットルバルブの場合、急速TAS 学習を行わなければならない。
しかし、この急速TAS 学習はどういうわけかアイドル回転が高過ぎると出来ないようである。(診断機でも出来ない)
今回は、このような場合の対処方法を紹介する。なお、急速TAS 学習は診断機でも出来るが無くても図の方法で実施可能である。
その前に、急速TAS 学習を行う条件だが、エンジンが完全暖機であることが必要である。
また、N 又はP レンジでエアコンや電気負荷などのかかっていないことも必要である。
まず、アイドル回転が高い場合は、図にあるスロットル全閉位置学習及び急速TAS 学習を行う。
これでアイドル回転が下がり基準値になれば問題ないが、下がらない場合は次の方法を試してみる。
(1)エンジンを始動し、シフトをD レンジ、エアコンON、ライトON、ハンドル操作などを行う。そして全てを元に戻してスロットル全閉位置学習及び急速TAS 学習を行う。
これでも駄目な場合は、(2)エンジンを始動し、D レンジにしたまま急速TAS 学習を行う。
それでも駄目な場合は、(3)エンジンを始動し、ニュートラルスタートスイッチのコネクタを抜いてD レンジにする。そして急速TAS 学習を行う。
ただし、(2)(3)の方法で急速TAS 学習を行いアイドル回転が下がった場合でも、もう一度急速TAS 学習を行う必要がある。
(2)、(3)は負荷をかけた状態で急速TAS 学習を行っており、正規のスロットルバルブ開度になっていないので、再度実施する必要があるからである。
(1)の方法は、様々な負荷をかけることにより色々な制御が働き、スロットルバルブを閉じ方向に動かすための操作である。
これにより無負荷状態にしてもスロットルバルブが最初より閉じるので、ハンチングするほど回転が高くても回転が下がり、急速TAS 学習が実施出来るようである。
(2)の方法は、本来、急速TAS 学習はP レンジで行うようになっているので(2)の方法では駄目ではないかと思っていたが、実際に行ってみたところ急速TAS 学習ができた車両があったのである。
また、D レンジにではなく、エアの吸入口を手で塞いでアイドル回転を下げることができれば同じく急速TAS 学習は可能である。
(3)の方法は面倒だが最も確実な方法ではないかと思われる。
要はアイドル回転をある程度下げた状態で急速TAS 学習を行えばいいということである。
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