アイドル回転が高く、2千回転前後でハンチングを伴う2004年式のブルーバード・シルフィー(GH-TG10、エンジン型式QR20DD、走行7万6千Km)のトラブル事例を紹介する。
このエンジンは筒内噴射式で、スロットル・バルブはアクセルペダルで直接駆動されない、電子制御式スロットル方式である。
スキャンツールを接続してエンジン・コントロール・ユニットの制御の様子をデータモニターしてみると、アクセルペダルとスロットル・バルブの開度信号はアイドル状態の数値であった。
にもかかわらずエンジン回転が高いということは、スロットル・バルブを通らない空気がシリンダー内に吸い込まれていると考えられる。
スロットル・バルブからシリンダーまでの間に原因が有るはずなので、関連部位を点検してみると、シリンダーヘッドカバーからインテークマニホールドに接続されたホースを潰すと、エンジン回転が低下した。
図に示す、シリンダーヘッドカバーに設けられたPCV(ポジティブ・クランクケース・ベンチレーション)バルブを取り外してみると、内部のメータリング・バルブが遊んでいた。

これによってアイドル時のようにマニホールド負圧が高い時に、大量の二次空気を吸入するためにエンジン回転が高くなったものである。
自家用乗用車の場合、ブローバイガス還元装置のメータリング・バルブの状態を24カ月ごとに点検しなければならないようになっているが、めったに故障しないからその存在すら忘れかけていたが、機械物である以上その機能点検は欠かせない。
ハイテクばかりに目が行きがちだが、このような基本的なメカニカル部分の構造・作動が理解できていないと、見当はずれの診断をしかねないので注意が必要である。 |