平成21年5月に発売されたZVW30系プリウスが爆発的に売れたのは記憶に新しいことと思います。
発売から3年が経過し、1回目の車検が入庫しているようです。
一番気になるところは、ブレーキフルードの交換作業だと思われます。
これまでのプリウスは、基本的に外部診断機が必要でしたが、30系プリウスには外部診断機が無くてもブレーキフルードの交換が出来る機能(ブレーキ制御禁止モード)が備え付けられています。
そこで今回は、30系プリウスの次の作業について2回に分けて紹介します。
1.ブレーキフルード交換作業
2.制御禁止モードヘの移行方法
3.ブレーキフルード車上点検
4.ダイアグノーシスの点検方法
5.ダイアグノーシスコードの消去方法
6.整備モードヘの移行方法
7.その他の注意事項
1.ブレーキフルード交換作業
@ブレーキ制御禁止モードにする(「2.ブレーキ制御禁止モード移行方法」を参照)
AブレーキフルードがリザーバタンクのMAX-MIN 間にあることを確認。不足している場合は補充する。
※作業中、ブレーキフルードが増えることがあるので、フルード缶はリザーブ注入口に立てない。
Bブレーキペダルをペダリングし、フロントキャリパのブリーザプラグからフルードを抜き取る。
※リザーバ内のフルードがMIN レベル以下にならないように注意。万一、ブレーキフルードの補充を忘れエアが混入した場合は、エア抜き作業には外部診断機が必要となる場合があるので、十分注意すること。
C抜き取り終了時、ブレーキペダルを踏み込んだ状態でブリーザプラグを締め付ける。
Dブレーキペダルを踏み込んだ状態でリヤキャリパのブリーザプラグを緩める。(ブレーキペダルを踏んだまま保持)
※ブレーキフルード交換中に、ポンプモーターの駆動を100秒以上連続行うと、ダイアグノーシスコードが記憶される場合があるので、100秒以内にブレーキペダルを離し一旦停止させる。
※リザーバ内のフルードがMIN レベル以下にならないように注意。
E抜き取り後、ブリーザプラグを締め付ける。
FIG OFF にする。(ブレーキ制御禁止モードは自動的にOFF になる)
Gブレーキフルード交換後は、フルード量点検を行う。(「3.ブレーキフルード量点検」を参照)
2.ブレーキ制御禁止モード移行手順
※以下の作業を1分以内に行う。
※ブレーキ制御禁止モードは、フルード交換作業を行うときであり、ブレーキホース交換時やブレーキキャリパ交換時のような、エア抜き作業時には行わない。
※ブレーキ制御禁止モード移行中にブレーキディスクロータを回さない。
@ブレーキペダルを踏まずにプッシュスタートスイッチを2回押し、IG ON にする。(シフトポジションがP であることを確認)
Aブレーキペダルを踏んだまま、シフトポジションをN にし、ブレーキペダルの「踏み込み・開放」を5秒以内に8回以上行う。
BP ポジションスイッチを押し、シフトポジションをP にし、ブレーキペダルの「踏み込み・開放」を5秒以内に8回以上行う。
Cブレーキペダルを踏んだまま、シフトポジションをN にし、ブレーキペダルの「踏み込み・開放」を5秒以内に8回以上行う。
DP ポジションスイッチを押し、シフトポジションをP にする。
Eブレーキウォーニングランプが点滅していれば、ブレーキ制御禁止モードへの移行は完了。点滅しなければ、初めからやり直し。
※ブレーキ制御禁止モードにすると、ブレーキウォーニングランプが点滅したり、ブザーが吹鳴するが異常ではない。
※以下の条件を満たすと、ブレーキ制御禁止モードは解除され、ダイアグノーシスコードを記憶する場合がある。その場合は、「5.ダイアグノーシスコードの消去方法」を行う。
シフトポジションがP 以外 |
READY ON |
パーキングブレーキ解除 |
IG OFF |
車速0km/h 以外 |
【注意とお願い】
ブレーキ制御禁止モードヘの移行手順は、パーキングブレーキを作動させていないと、移行できませんので注意してください。
また、ブレーキ制御禁止モードヘ移行後、ブレーキフルードの交換作業を行わずに走行しますと、ABS 警告灯が点灯しダイアグノーシスコードC1451とC1345(ランプ点滅によるコード66と72)を表示することがあります。
この場合、ブレーキフルードを交換し、リニア弁オフセット学習を行わないと、異常コードの消去ができません。
ブレーキフルード交換作業以外でブレーキ制御禁止モードヘの移行手順は行わないでください。 |