先月号では次の30系プリウスの整備作業のうち「1.ブレーキフルード交換作業」と「2.制御禁止モードヘの移行方法」について紹介しましたが、今月号では残りの作業について紹介します。
1.ブレーキフルード交換作業
2.制御禁止モードヘの移行方法
3.ブレーキフルード車上点検
4.ダイアグノーシスの点検方法
5.ダイアグノーシスコードの消去方法
6.整備モードヘの移行方法
7.その他の注意事項
※1と2については8月号で紹介済み
3.ブレーキフルード量点検
@ブレーキペダルを踏まずにプッシュスタートスイッチを2回押し、IG ON にする。(シフトポジションがP レンジであることを確認)
AIG ON の状態でブレーキペダルを4、5回操作し、一旦ポンプモータを作動させる。
Bポンプ停止後、リザーバのブレーキフルード液面がリザーバの補助ライン(図1)になるようにフルード量を調整する。
※補助ラインはMAXとMINライン間にある。
4.ダイアグノーシスの点検方法
@IG OFF で、運転席にあるDLC3コネクタの4番と13番を短絡。(図2)
Aブレーキペダルを踏まずにプッシュスタートスイッチを2回押し、IG ON にする。
BABS ウォーニングランプ、ブレーキウォーニングランプ、スリップインジケータランプの点滅回数を読み取る。
※ABS ランプはABS システム、スリップインジケータランプはVSC システム、ブレーキウォーニングランプは電子制御ブレーキシステムの異常コードを表す。
5.ダイアグノーシスコードの消去方法
@IG OFF で、運転席にあるDLC3コネクタの4番と13番を短絡。(図2)
Aブレーキペダルを踏まずにプッシュスタートスイッチを2回押し、IG ON にする。
BIG ON 後、5秒以内にブレーキペダルの「踏む・離す」を8回以上行う。
C各ウォーニングランプが0.25秒間隔の高速点滅になれば、消去は完了。(異常が継続している場合は消去できない)
6.メンテナンスモード(整備モード)への移行方法
※以下の作業を60秒以内に行う
@ブレーキペダルを踏まずにプッシュスタートスイッチを2回押し、IG ON にする。(シフトポジションがPであることを確認)
Aアクセルペダルを2回全開まで踏み込む。
B左足でブレーキペダルを踏んだ状態でシフトポジションをN にして、アクセルペダルを2回全開まで踏み込む。
CP ポジションスイッチを押し、シフトポジションをP にし、アクセルペダルを2回全開まで踏み込む。
Dマルチディスプレイに「MAINTENANCEMOOD」と表示されればOK。(表示されなければやり直し。)
Eブレーキペダルを踏んだままプッシュスタートスイッチを1回押してREADY ONにする。
FREADY ランプが点灯し、エンジンが始動すれば完了。(IG OFF にすれば自動的に解除する。)
7.その他の注意事項
ブレーキペダル、ブレーキペダルストロークセンサ、マスタシリンダ、ブレーキブースタ、ブレーキブースタポンプASSY、ヨーレートセンサなどを交換した場合、交換した部品によって、リニア弁オフセット学習、ブレーキペダルストロークセンサ0点学習、ヨーレートセンサ&G センサ0点取得、緊急ブレーキシグナル学習などが必要になり、中には診断機がないと行えない項目があるので注意。
【注意とお願い】
前月号で紹介した、ブレーキ制御禁止モードヘの移行手順は、パーキングブレーキを作動させていないと、移行できませんので注意してください。
また、ブレーキ制御禁止モードヘ移行後、ブレーキフルードの交換作業を行わずに走行しますと、ABS 警告灯が点灯しダイアグノーシスコードC1451とC1345(ランプ点滅によるコード66と72)を表示することがあります。
この場合、ブレーキフルードを交換し、リニア弁オフセット学習を行わないと、異常コードの消去ができません。
ブレーキフルード交換作業以外でブレーキ制御禁止モードヘの移行手順は行わないでください。 |