走行中にエンジン警告灯が点灯し、「PO420」(触媒劣化)を出力するという、平成19年式インプレッサ(車両型式DBA-GH3、エンジン型式EL15)のトラブル事例を紹介する。
「触媒劣化」というDTCを出力されても、どのように点検するとよいかわからないという相談であった。
触媒の劣化はECUがリヤO2センサの信号を基に判定しているため、リヤO2センサの信号をスキャンツール等を使用し、モニタするしかない。
当会にて汎用スキャンツールを使用し、アイドリング中のデータモニタをしたところ、フロントO2センサと同じように頻繁にリッチ(濃い)/リーン(薄い)信号が切り替わっていた。
ただ単に「O2センサ」として判断しようとすると、「リヤO2センサはしっかりと機能している」と判断してしまいそうだが、よく考えてみてほしい。
リヤO2センサの上流には触媒があり、その更に上流には空燃比を制御するフロントO2センサがある。
通常であれば、フロントO2センサの信号により理論空燃比あたりに制御されているため、有害な排出ガスはほとんど出ない。
加えてフロントO2センサを通過する排出ガス中の残存酸素濃度は、空燃比制御が正常であるならば、触媒を通過することにより、ある程度一定の値になるはずである。
つまり、アイドリング中のリヤO2センサの信号電圧は、ほとんど変化しないことが正常となる。
にもかかわらず、リヤO2センサがフロントO2センサと同じようにリッチ/リーン信号を出力しているということは、触媒が機能せず、フロントO2センサ部を通過する排出ガスが、酸化、還元されずにそのままリヤO2センサ部を通過しているということになる。
念のため、複数メーカーの修理書にてリヤO2センサの正常時の信号を確認してみたが、やはり信号がほとんど変化しない(変化しても非常にゆっくりな変化)ことが正常であった。(図のA参照)
今回はユーザーの都合で触媒交換には至らなかったのだが、他メーカーの車でも同じように「P0420」を出力するという事例を数件聞いている。
そのうち、実際に触媒が原因だったという報告も受けているため、「P0420」を出力する車両が入庫した場合は、是非リヤO2センサの信号を確認して頂きたい。
あまり注目されないリヤO2センサだが、非常に重要な役割を担っているセンサであると改めて痛感した次第である。
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