今月の「実践!整備事例」は、過去に紹介した事例について、その後にも同様の問い合わせがあった事例を紹介する。
【事例1】
トラクション・コントロール装置を解除したいが、トラクションOFFスイッチがないというブレイド。
車検で入庫し、スピードメーターを測定しようとしたが、トラクション・コントロール装置が働いて、測定ができないらしい。
これは、2012年3月号の「トラクション・コントロール・システムの解除方法」で紹介しているが、最近のトヨタ車にはトラクションOFFスイッチが無いものがあり、そういった車はプリウスのように整備モードにする必要がある。
操作方法については2012年3月号で紹介。
【事例2】
ダイアグコードでP0171(O2センサーリーン異常)を出力したが、「O2センサーが悪いのか?」という問い合わせ。
これは2013年12月号の「空燃比異常はO2センサーによるものなのか?」で紹介しているが、O2センサーが悪い可能性もあるが、実際にリーン(空燃比が薄い)の場合も出力するコードである。
よって、原因はエア吸い、エアフロメータの不良、燃圧低下、インジェクタの詰まりなど、様々なことが考えられる。
単純にO2センサーを交換すればいいというわけではない。
【事例3】
エンジン警告灯が点灯したのでダイアグノーシスを点検したいというストリーム。
診断機を使わない手動のダイアグノーシスの点検方法については、2009年2月号の「エンジン警告灯の手動ダイアグ方法」で紹介。
【事例4】
プラグを交換し、ついでにスロットルボデーを清掃したらアイドリングが高くなったというノート。
日産車では定番の相談。スロットルバルブの清掃を行うことにより、吸入空気量が増えてアイドル回転が高くなるというもの。
この場合、急速TAS学習(急速にアイドリング回転を正規に調整すること)が必要であり、方法は2006年10月号の「電子制御スロットルの取扱いは慎重に」で紹介。
【事例5】
事例4と同じく、スロットルバルブ清掃後にアイドル回転が高くなったというセレナ。
ただし、こちらはアイドル回転が高くなりすぎハンチングするというもの。
自前のスキャンツールで急速TAS学習を行ったが、いつまでたっても終わらないという相談。
どういうわけか日産はハンチングするほどアイドル回転が高いと、急速TAS学習ができないようである。
そういった場合は2011年8月号の「急速TAS学習が出来ない場合の対処方法」を参照。
【事例6】
減速時のみエンストすることがあるというクラウン。
アクセルOFF時に不具合が発生し、ダイアグノーシスで正常コードを出力した場合は、ISCV系統かVVT系が原因というのが一般的である。
エンスト時にVVT用のOCVを調べてもらったところ不良だったとのこと。
2011年9月号の「アクセルOFFに発生するトラブル」に同じ事例及び点検方法を紹介。
【事例7】
エンジン警告灯が点灯しダイアグノーシスコードP1937(A/Fセンサー系異常)を出力したラパン。
「A/Fセンサーとは何か?どこにあるのか?」という問い合わせ。
A/Fセンサーについては、2011年11月号の「A/Fセンサ?LAFセンサ?」で紹介。
【事例8】
エンジン警告灯が点灯したのでダイアグノーシスを点検したいというエルグランド。
2008年8月号の「従来と違うシステムPARTT」で紹介しているように、この車のエンジン警告灯は燃料フィルタの水位警告灯を兼ねており、点灯であれば水位警告を、点滅であればエンジンシステムの異常ということを警告しているのでフィルタの水位の点検が必要。
【事例9】
ダイアグノーシスコードP0136(O2センサー2 バンク1)を出力したが、O2センサーが2つあるがどれかという問い合わせ。
O2センサーについては、位置や点検要領等について2010年5月及び6月号の「O2センサーに関するトラブルパートT及びパートU」で紹介。
これらの事例はここ2ヶ月間にあった問い合わせの一部であり、他にも同様な問い合わせがあります。
中には傾向的に多いトラブルもありますので、この「実践!整備事例」を参考にしていただければと思います。
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