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2014年8月
まちがった補正でエンジン不調に

アイドリングが不安定で、アクセルペダルを踏んでいないとエンストするという平成17年式のライトエース・バン(GK-KR42V、エンジン型式7K、走行距離28万km)のトラブル事例を紹介する。

点火系統の2次回路の部品を交換してみたが、一向に改善されないということで車が搬入された。

スキャンツールを接続して制御の状況をデータモニタしてみると、いくつかの項目が気になった。

まず、アイドル回転速度を制御するISCVの開度が90%を超えている事と、空燃比フィードバック補正値と学習値の、それぞれがマイナス20%に達している事である。

ここまで燃料噴射量が減量されれば、当然エンジンは不調になってしまう。

この時のOセンサーの信号電圧は、図のようにほぼ0.6ボルト以上を保っていた。

センサーのコネクタを外してみると、補正値はゼロ%に近づいて次第にアイドリングが安定してきた。

これまでの点検内容から、Oセンサーの特性がリッチ側にずれた事で、そのまちがった信号によってエンジン・コントロール・コンピュータは燃料噴射量を必要以上に減量した訳である。

先月号のこの欄で紹介したように、Oセンサーは極めて厳しい環境に置かれているので、定期的なメンテナンスが欠かせない。

不具合が発生してから調べるのではなく、定期点検や車検で入庫した際にはスキャンツールを活用して、Oセンサー及び空燃比フィードバックの様子を確認しておく事が大切である。

これによって経年劣化が把握できると共に、あらたな整備メニューの提案につながるものと考える。

エンジン警告灯が点灯していないから、すべてが正常に作動している訳ではないと云う事を理解願うと同時に、「隠れ故障」を発掘してビジネスチャンスに結び付けて頂きたい。

《技術相談窓口》


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