最近の車両は快適性や利便性の向上、エンジン性能及び燃費の向上のため、様々な学習機能がある。
よって、バッテリ交換時、バックアップ電源を取らずにバッテリを交換すると、様々な弊害が出ることがある。
今回はバッテリ上がりやバッテリ交換に関しての注意点や相談事例を紹介する。
【バッテリターミナルの脱着】
バッテリ交換時などはバックアップ電源を使用することが望ましいが、それが出来ない場合には次の点に注意する必要がある。
今の車両は、IGキーをOFFにしても各種学習を行っているので、1〜2分待ってからバッテリターミナルを外さなければならない。(HDDナビ付車などは6分位学習しているので注意)
また、バッテリターミナル取り付け後は、各種初期化設定を行う必要がある。
この初期化設定についてはパワーウィンド、パワースライドドア、ステアリングセンサ中立点、バックガイドモニタなど、数多くの項目があり商工組合取り扱いの「バッテリマイナス端子取り外し後の初期化設定マニュアル」(4,800円)の購入をお勧めする。
【バッテリ交換後の作業】
バッテリ交換時は、前項の注意点や初期化作業が必要だが、アイドリングストップ(以下ISS)付車ではバッテリ交換後にはISSに関する初期化設定(積算値クリア)を行わないといけない車種がある。
これは、ISSではバッテリの状態を積算でカウントしており、一定以上の充放電を行ったバッテリではISS を働かせないようにしているからである。
よって、バッテリを交換した場合は、ECU内の情報をクリアしないとISSが働かなくなる可能性がある。
【バッテリ上がり時の注意点】
現在行っている平成26年度整備主任者研修の実習研修で使用しているノート(車両型式DBA-E12、エンジン型式HR12DDR)の修理書に次のような注意事項があったので紹介。
表1にある車種(ただし、アイドリングストップ付車に限る)については、バッテリが上がった場合、ブースタケーブルを接続してもスタータが作動しないことがあるというのである。
これは、バッテリに関する特定のダイアグノーシスコードを記憶した場合、制御としてスタータを作動させないようにしているからである。
この場合の対処方法は、バッテリのマイナスターミナルを1分以上外した後に、ブースタケーブルを使いクランキングする。(バッテリターミナルを外すことによりECU内の情報がリセットされる)
もしくはブースタケーブルを接続したままスキャンツールでダイアグノーシスコードを消去すればクランキングは可能となるようである。
それから、バッテリが上がった状態、またはターミナルを外した状態でステアリング操作が必要な場合、プッシュエンジンスタータ採用車はハンドルがロックされるのでハンドル操作が出来なくなるそうである。
この場合は、次の操作を行うことによりロックが解除される。
1.バッテリ上がりの場合は、ブースタケーブルで電力を供給する。
2.キースイッチを「ACC」にする。(この時点でロックが解除される)
3.バッテリターミナルを外す。
4.目的の作業を行う。(積載車などに乗せる等の作業)
5.目的の作業終了後、バッテリターミナルを接続し、
ブレーキペダルを踏まない状態でエンジンスイッチを操作し、
ACC→ON→OFF→LOCKの操作を行う。
【相談事例1】
バッテリ交換後、リバース連動ミラー(Rレンジにすると、左ドアミラーが少し下向きに動くシステム)が作動しなくなったという平成19年式ムーブ(車両型式L175S)。
調べるとカスタマイズ機能があり、「機能停止」と「機能停止解除」の切替を行うことで出来るようになっていた。
「機能停止解除」を行うことで正常に作動するようになった。
操作方法は次の通り。
《技術相談窓口》
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