走り始めて10q位で、突然エンストすることがあるという、平成10年式のハイゼット・トラック(V-S100P、エンジン型式EF-GS、走行距離6万5千q)のトラブル事例を紹介する。
メカニックの話によると、エンストした直後は始動不能になり、「エンジン」と表記されたヒューズが飛んでいるとのこと。
ヒュ−ズを取り換えるとしばらくは良いが、再び同様の不具合が発生するらしい。
ヒューズが切れる原因が、コントロールユニットではないかという推測で中古部品と交換してみたが、様子が変わらないので当会に持ち込まれた次第。
配線図で「エンジン」のヒューズの負荷を調べたところ、点火コイルとラジエータ・ファン・モーター及び燃料ポンプの3つであることが確認できた。
ヒューズの切れ方からして、デッド・ショートのようなので、ヒューズの代用に図1に示す自作品の『ショート確認用ランプ』を取り付けて、ワイヤハーネスを揺すってみることにした。
前述の3つの回路を末端の方から揺すって、ランプが明るく点灯したら声を掛けてもらうようにして、慎重に作業を進めていく。
すると、車輌左後ろ部分のワイヤハーネスを触った時に、ランプが明るく点灯することが判明した。
それは、燃料ポンプに行く途中の配線の束が、車体の配線クランプから垂れ下がって、排気管に接触してその熱で被覆が溶けてしまい、むきだしになった芯線が排気管に短絡している痕跡があった。(図2参照)
しばらく走らないと不具合が発生しなかったのは、熱によるワイヤハーネスのたわみと、走行中の振動によるものと考える。
車齢の高齢化により低年式車の活躍が目立つが、今回の事例のように経年劣化に起因する故障が散見されるようになってきた。
「配線の取り付け状態」は点検項目に掲げられている内容なので、基本作業をしっかりとおこなうことが大切である。
《技術相談窓口》
|