エアコンのスイッチを入れても、まったく風が出なくて、コンプレッサーのマグネット・クラッチも作動しないという、平成16年式のオデッセイ(DBA-RB1、エンジン型式K24A、走行距離11万km)のトラブル事例を紹介する。この車のエアコンはデュアルタイプなので後席にも操作スイッチがあり、それを操作した場合には、作動する事が確認できた。
この事から、マグネット・クラッチを制御する回路には問題ないと判断される。
まずはブロアモーターから点検する事にした。
オートエアコンの場合は、風量を無段階に制御するためにパワートランジスターでモーターを駆動するようになっている。
図1に示す1番端子の電圧を測定してみると、ほぼバッテリー電圧を示し、3番と4番端子も同様であった。
次に、30アンペアのヒューズを組み込んだジャンパ線を使って、4番端子と2番端子を短絡してみるとブロアモーターが勢いよく回り、コンプレッサーのマグネット・クラッチも作動するようになった。
ここまでの点検で、パワートランジスターのオープン故障と判断される。パワートランジスターが故障する原因は、エアコンのフィルターを長期間交換しないことで、風量が低下するためにパワートランジスターの冷却が不十分になる事である。パワートランジスターとエアコン・フィルターを新品に交換すると、すべてが正常に機能するようになった。
図2に示す電圧分布が正常な場合の数値なので、トラブル・シューティングを行う際の参考にしていただきたい。
ちなみに、3番端子の電圧はオートエアコン・アンプが、ブロアモーターの回転状態をモニターするためのもので、これがバッテリー電圧や0Vになると、ブロアモーターは正常に回転していないと判断して、エバポレーターが氷結するのを防ぐ目的で、マグネット・クラッチヘの通電を停止する訳である。
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