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2015年8月
インジェクタのIDコード登録時の注意点

加速時にノッキング音が出ていたので、インジェクタの補正値の変更をしてみようと考えた。その際、インジェクタのIDコードを書き換える必要があったため、もともと現車に取り付けられていたインジェクタのIDコードを再登録したところ、「P1601」(IDコード異常・登録未実施)を出力するようになり、消去できなくなってしまった。

また、加速時に「シュー」という音が出るという、平成19年式ハイエース(車両型式ADF-KDH201V、エンジン型式1KD-FTV)のトラブル事例を紹介する。

車が持ち込まれた際、トヨタの診断機であるDST-2を使用しインジェクタのIDコードを登録してみたが、結果が同じであったため、車を預かることとなった。

専用の診断機でIDコードを登録しても「P1601」を出力するということは、IDコード登録の他に何か必要な作業があるのではないかと考えた。

ファイネスを使用して修理書を確認したところ、インジェクタの交換時にはIDコード登録に加え「微小噴射量通常学習」を実施することという記載を見つけた。

また、特定の部品を交換すると必要になる付帯作業の一覧があった。(表参照)

再度IDコードを登録し、「微小噴射量通常学習」を行ったところ、DTCは自動的に消去され、「P1601」を出力することはなくなった。

ひとつの作業を行う場合でも、その作業に付随して行わなければならない他の作業が必要というパターンや、診断機を使用しなければ作業ができないことが増えてきている。診断機やファイネスを有効に活用し、作業にかかる必要があると感じた一件であった。

もう一つのトラブルである加速中の音については、加速時に過給圧が漏れている音であった。

場所はターボ・チャージャのコンプレッサ・ホイール直後の配管の接続部。ターボ・チャージャ側は当然ながら金属で、直後の配管は樹脂製の配管になっており、結合部にゴムのブーツというレイアウトであった。

樹脂製の配管の一部が割れており、そこから過給圧が漏れていたというもの。部品を注文したところ、注文した日に入荷し、樹脂製の配管が金属製の配管に変更されていた。(写真参照)

一連の対応から、同様のトラブルが多いのかもしれないと感じた。同型の車両が入庫した際には、ぜひ注意して点検して頂きたい。

《技術相談窓口》


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