走行中にチェック・エンジン・ランプが点灯したという平成23年式バモスホビオ(車両型式ABA-HM3、エンジン型式E07Z)のトラブル事例を紹介する。実はこの車、少し前から入庫しており、ダイアグノーシスでコードP0302(2番シリンダ失火)を表示していたそうである。
平成20年くらいから以降の車には、エンジン回転の変動などから失火を検出する失火検出機能が付いている。これにより何番シリンダが失火したかがわかるようになっている。
ダイアグノーシスからは2番シリンダの失火と判明していたので、依頼者の工場ではプラグやIGコイルを入れ替えてみたが、やはり2番が失火したそうである。
圧縮圧力やバルブクリアランス、それにエア吸いなども調べたが問題が無いということで、インジェクタも交換したのだが5日目にチェック・エンジン・ランプが点灯したということで依頼された。
まずは失火状態を確認しようとスキャンツールを接続し、データモニターで失火状態を確認することにした。少し走行してデーターを確認すると、すでに40数回の失火が記録されていた。乗っている感じではエンジンの不調は感じられなかった。すぐにでも失火が起こるだろうと試乗を続けたが、失火回数に変化はなかった。
エンジン始動直後の方が失火が起こるのかもしれないと思いエンジンを停止。5分後に再始動すると、7回ほどの失火がカウントされた。やはり、エンジン不調は感じられなかった。
この失火検出は、クランク角センサーの回転変動で失火を推定しているようで、体感できない失火でも検出しているようだ。何度か試したが、失火するのは始動直後だけで、それもエンジンを止めている時間に比例して失火回数が増えているような気がした。
このことから、以前に経験したあるトラブル事例を思い出した。
10年近く前のことだが、エンジン始動直後の1分ほどだけエンジン不調で白煙を吐くというトラブルを経験した。原因はシリンダガスケットで、エンジン停止後にシリンダ内に冷却水が入っていたのである。
洩れた冷却水により白煙&エンジン不調が起こっていたようだが、燃焼によりシリンダに溜まっていた冷却水が無くなれば全く調子がよいという事例だった。それと同じかもしれないと思い、一晩そのままにして翌朝に確認することにした。
エンジンをかける前に、シリンダ内に水が溜まっていないかを調べてみた。しかし、ピストンの中央部分しか見えない。こういった時に便利なのが医療などで使われているファイバースコープである。車の整備にも使えるようなファイバースコープも売られていたが、かなりの高額でとても購入できなかった。
しかし、最近では非常に安いものが販売されているので、色々と試してみたところ、明るくて安価な「LEDライト付防水スネークカメラ」があったので購入していたのである。(図1)
そのスネークカメラを使いシリンダ内を調べてみたところ、1番シリンダはピストンとシリンダの境には何もなかったが、2番シリンダには液体状の物がはっきりと見えた。(写真1、2)
オイルではなく冷却水だった。ヘッドガスケットの不良ではないかと思われた。ちなみに、このエンジンはシリンダヘッドガスケットの保証延長が出ているので調べたが対象外だった。
スネークカメラは大分県自動車整備商工組合で販売しており、録画(写真及び動画)
機能付きで9,500円です。デモ機もありますので、ご覧になりたい方は商工組合までご連絡をお願いします。
TEL 097-556-1100
《技術相談窓口》
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