新車を購入して3年を過ぎた、平成24年式のホンダN-BOX(DBA-JF1、エンジン型式S07C、走行距離9万km)の、アイドリング・ストップに関する事例を紹介する。
今年の9月に専業工場で初回車検を受けて、それから少し経ってからいつもと同じように走行しても、アイドリング・ストップしなくなったという訴えである。
MILエンジン警告灯が点灯することはないものの、図1に示すオレンジ色のランプが点灯していた。これは、アイドリング・ストップ機能が正常に機能していない事を促すものである。
MILは点灯していないが、DTC(ダイアグ・トラブル・コード)が残っていないかどうかを調べてみるも、異常は検出されていなかった。
スキャンツールをデータモニター画面に切り替えて、制御の様子を点検したところ、アイドリング・ストップを禁止する条件のうちのひとつが、「禁止」状態になっていた。それは、「バッテリー」であった。
周知のように、アイドリング・ストップ付きの車には、それ専用のバッテリーが搭載されており、ECUはクランキングの回数や放電電流などの数値を記憶し、それらが上限値に達すると、アイドリング・ストップを停止するプログラムが組み込まれている。
バッテリーは新車時のままなので、そろそろ交換時期を迎えていると考えられる。
バッテリーテスターで調べてみると、
図2に示すような結果であり、これから判断するとまだ充分に使えそうな数値である。
しかし、スキャンツールで更に詳しく調べると、バッテリーの内部抵抗が8.2mΩであった。
この数値が良いのか悪いのかは、基準値を知らないかぎり判断ができない。
メーカーの見解によると、7mΩ以下が正常値で8mΩを超えると、アイドリング・ストップ禁止条件が成立するとのことである。
今回のバッテリーは8.2mΩなので、完全にアウトである。
処置としては、バッテリーをアイドリング・ストップ専用の「M-42」に交換したのちに、ECUが記憶しているバッ
テリー放電電流積算値をクリアーしてやらなければならず、それをしないとアイドリング・ストップは正常に機能してく
れない。
そのためには、それらに対応するスキャンツールが必要なのは、言うまでもない。
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