車輌前方の事故修理をおこなってから、フロントバンパーに取り付けられた「コーナー・ポール」が作動しなくなったという、平成22年式のプリウス(DAAZVW30、エンジンおよびモーター型式2ZR/3JM)のトラブル事例を紹介する。
図1に示すこの装置はディーラー・オプションで装着されたもので、メーカー発行の配線図にはその回路が掲載されていない。
部品を取り外してみると、ネジ止めのアース線の他に配線が2本あるだけなので、室内のスイッチで上昇/下降を切り替える回路かと思って単体テストをおこなってみたが、まったく動かない。
スイッチ部分で点検するためにコネクタを外してみると、そこには2本の配線があるだけだったので、先ほど推測した回路ではないことが判明した。
図2に示すスイッチ単体の導通テストをおこなった結果は問題なかったが、2本の配線には電圧が掛っておらず、アース回路との導通もなかった。
情報網を駆使してなんとか資料を入手した結果、図3のような回路になっており、前述したスイッチはコーナー・ポールをオート作動させるか否かを決めるもので、これによって上下させるものではないのである。
その作動ロジックは図4に示すとおりで、モーター部分の3番端子に掛る常時電源に対して、スイッチから供給される4番端子の時系列的な電圧変化によって上下作動をおこない、内部に組み込まれたECU によって、自動的にポールの作動・停止とランプの点灯・消灯をおこなっているようである。
原因はスイッチ上流のヒューズ切れであった。(図5参照)
ヒューズ交換後は問題なく作動するようになったので、事故の際の衝撃で一時的に短絡したものと思われる。
たかがコーナー・ポールと思っていたが、まさかこのような仕組みになっているとは考えも及ばなかった。
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