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2016年5月
経年劣化による部品のメンテをしっかりと

ブレーキの効きが悪くなったという訴えで入庫した、平成18年式の三菱ミニキャブ・トラック(GBD-U62T、エンジン型式3G83、走行距離17万q)の不具合事例を紹介する。

ユーザーは、以前よりも強くブレーキ・ペダルを踏まないと、期待したとおりの制動力が得られず、運転しにくいとのこと。

走行テストをおこなってみると、確かにペダルが固くて強めに踏まないとブレーキの効きが弱い。

ブレーキの倍力装置は、エンジンの吸入負圧を利用した「真空式倍力装置」(マスターバック)が装着されている。

さっそくエンジンの吸気管圧力をバキューム・ゲージで測定してみると、アイドリング時−450mmHg あり、ブレーキ・ペダルをポンピングしても、その圧力はほぼ保たれていた。

負圧がしっかり供給されているにもかかわらず、倍力装置が正しく機能していないとなると、マスターバックに問題があると考えられる。

マスターバックの点検方法には、「気密機能点検」と「負荷気密機能点検」があり、前者はブレーキ・ペダルを踏まない状態で、エンジンを停止した直後の圧力の変化をみるものである。(図1参照)



@気密機能チェック

a エンジンを始動し、負圧計が500mmHg になったらエンジンを止める。エンジンを止めてから15秒間で負圧計の指針が下がらないこと。

b 不良の場合は下記のいずれかが原因していると思われる。

○チェックバルブの機能不良。

○配管各部いずれかのもれ。

○ブースタボデー、ボルトの溶接部のもれ。

○エアバルブ(プランジャ)の気密不良。

○ボデーシール、ベアリングからのもれ。

○ダイアフラムの破損。

A負荷気密機能チェック

a エンジンを始動し、ブレーキペダルを踏力20kg で踏んで負圧計が500mmHg になったらエンジンを止める。エンジンを止めてから、15秒間における指針の低下は25mmHg 以下であればよい。

b 不良の場合は気密チェックのB 項の原因を参照する。

図1.マスターバックの構造と機能点検


図2.分解したマスターバックの様子

 

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