走行中にMIL(エンジン警告灯)が点滅して、しばらくすると点灯したままになるという、平成23年式のタント(DBA-L375S、エンジン型式KF-VE)のトラブル事例。
中古車販売店を経由して修理依頼された車で、過去の整備歴は不詳である。
スキャンツールでDTC を調べたところ、「P0300」「P0301」「P0302」「P0303」の4つを表示した。
これは図1に示すように、点火装置が失火している事を示唆している。
通常の場合MIL が点灯する事で、異常発生をドライバーに知らせているが、点滅は触媒にダメージを与えるような事態が起きている場合に限られる。
ダイハツ車の点火装置は他のメーカーとは異なり、図2に示すような「イオン電流燃焼制御システム」が組み込まれている。
これは、圧縮した混合気に点火した直後に発生するイオン電流を、スパークプラグの電極部で検出し、その信号をECU にフィードバックしている。
なんらかの理由で燃焼が正常に行われなくなると、その信号が正しく返送されなくなることで、前述のDTC が検出される訳である。
失火検出の方法はこれ以外に、クランク角センサ信号の周期の乱れによって行われるのが一般的であるが、イオン電流検出方式の方がギリギリまでの希薄混合気や大量EGR に対応できるというのが、メーカーの見解である。
基本点検から行ってみると、スパークプラグが指定されたものではないことが判明した。
図2にあるように、ノンターボのKF-VE とターボ付きのKF-DET とではスパークプラグの仕様が異なっている。
この車の場合、間違ってターボ付き用のスパークプラグが装着されていた。本来のものに交換して走ってみると、MIL の点滅や点灯はなくなった。
たかがスパークプラグと思われるかもしれないが、イオン電流検出方式の場合はかなりシビアに制御されているようなので、メーカーが指定したものを使う事が重要である。
シリンダー内で燃焼が正しく行われている場合のイオン電流検出信号波形は、図3に示すように点火指示信号が立ち下がった直後に立ち上がるようになるので、参考にしていただきたい。
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