エンジン警告灯(MIL)が点灯するという、平成20年式のマツダ・デミオ(車輌型式DE3FS、エンジン型式ZJ、走行距離6万km)のトラブル事例を紹介する。
ユーザーはこれまでに、車を購入した販売会社に数回調べてもらい、センサー類やECUを交換してみたが、状況は改善されなかったとのこと。
スキャンツールで調べてみると、「P2187」のDTCが検出されていた。
これはメーカー独自のDTCで、サービスマニュアルで調べてみると、「アイドル時空燃比リーン異常」を示すものであることがわかった。
FFD(フリーズ・フレーム・データ)でそのことを遡って調べてみると、空燃比補正値が25%、空燃比学習値は15%増量されていたことが確認できた。
燃料噴射量を40%も増量しないといけないほどに、空燃比が薄くなってしまったことで、前述のDTCを検出したと推測される。
空燃比が薄くなると、一般的には「P0171」が検出されるのであるが、それは検出されていないことから考えると、文字どおりアイドル時だけ空燃比が薄くなっていると思われる。
データモニターしてみると、A/Fセンサーは電流値がプラス側に37mAで、明らかに空燃比が薄いことを物語っている。(図1参照)
その状態からエンジン回転を上げていくと、センサーの値と空燃比制御の数値が正常範囲に収まってきた。
やはり空燃比が薄いのは、アイドル時に限った時に起こっていることは間違いない。
特定の領域で薄くなることから、燃料の圧力や吸入空気量信号に問題はないと考え、吸気系統からのエア吸い込みに的を絞って点検を進めていった。
可燃性ガスを細いノズル先端から噴出しながら調べてみると、インテーク・マニホールド部分で変化がみられた。
良く見るとそこにクラックが見つかり、そこから2次エアを吸っていることが判明した。(図2参照)
スロットル・バルブの開度とマニホールド負圧の関係を知っていれば、「P2178」だけが検出されたことが理解できる。
ラジエータコア・サポートパネルや、右フロント・フェンダーに板金塗装の痕跡が見受けられることから、前部をぶつけた際にインテーク・マニホールドに力が及んで、クラックが生じたものと推察される。
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