燃圧が発生せず、エンジンが掛らないという平成14年式のスバル・フォレスター(TA-SG5、エンジン型式EJ20ターボ付、走行距離22万q)のトラブル事例。
キースイッチONでフューエル・ポンプの作動音がするけど、圧力が全く上がらないので、フューエル・ポンプの故障と判断して中古部品と取り換えると、圧力が上昇してエンジンが掛るようになったのでユーザーに納車したが、数日後にまたエンジンが掛らないということで、戻ってきた。
調べてみると、前回と同様にフューエル・ポンプの作動音はあるが、燃圧がゼロであった。
中古フューエル・ポンプの不良と考えて、再度中古部品と交換して納めたが、またも同じ症状を訴えてきた。
今度はフューエル・ポンプを新品に交換して納めようと思ったが、燃圧が4kgf/cm2 以上あることと、燃圧がゼロの時のフューエル・ポンプの作動音が甲高いことに加えて、DTC「P0230」(フューエル・ポンプ・コントローラ異常)を表示するのが気になると言うことで、相談がもちかけられた次第。
これまでに交換した全てのフューエル・ポンプは、単体での作動テストの結果、モーターは回るものの吐出口からはまったく燃料が出てこないで、リリーフ・バルブ側から出てきた。
これでは無負荷に近い状態なので、甲高い音に聞こえる訳であり、燃圧が上がらないのも納得がいく。
DTC「P0230」が検出された理由は、フューエル・ポンプ交換直後の過負荷状態における過大電流か、リリーフ・バルブ破損時の無負荷圧送による過少電流によるものと推察する。
一般的なフューエル・ポンプの駆動回路は、電源側で電圧制御を行い、アース側は直接グランドされているのに対して、この車は図1に示すようにその両方が、コントローラに接続されている。
この車の燃料供給ラインは、図2のように外付けのプレッシャ・レギュレータが存在しており、正規の燃圧が2.6kg/cm2 であることから、これが詰まり気味になって燃圧が過度に上昇していると考えられる。
プレッシャ・レギュレータから燃料タンクまでの間のリターン・パイプの通気に問題がないことが確認できたので、プレッシャ・レギュレータを交換することにした。
プレッシャ・レギュレータが原因で、フューエル・ポンプが壊されてしまったというのが、トラブルの真相であった。
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