ブロア・スイッチをどのポジションにしても、まったく風が出てこないという平成18年式のダイハツ・ムーヴ(CBAL150S、エンジン型式EF、走行距離13万km)のトラブル事例を紹介する。
この車のブロアモーターの回路は図1のようになっており、オートエアコン仕様のため、レジスターに代わって半導体素子で電流を変化させる事で、風量をコントロールしている。
まずはモーター部分で電圧を測定してみると、上流・下流共に電源電圧であった。
ヒューズを組み込んだジャンパー線を用いて、ブロアモーター・コントローラーのBと@1端子間を接続してみると、勢いよく風が出るので、ブロアモーター・コントローラーを除く回路には問題はないと判断できる。
ブロア・スイッチをどのポジションにしても、図1の「V2」が10Vであることから、まちがいなくブロアモーター・コントローラーの不良と思われる。
ブロアモーター・コントローラーが故障するには、それなりの理由がある訳で、関連する部分の点検を行ってみると、エアコンフィルターの目詰まりが酷かった。(図2参照)
新車から一度も交換した様子がないくらいに、汚れと詰まりがすさまじい状態であった。
本来はブロアモーターの風によって、充分に冷却されるはずのブロアモーター・コントローラーが、エアコンフィルターの詰まりによって風量が低下することで過熱して、内部の温度ヒューズが溶断してしまう。
したがって、ふたつの部品をセットで交換しないと意味が無い訳である。
これからエアコンの出番が多くなる季節なので、エアコンフィルターのメンテナンスをしっかり行う必要がある。
エアコンフィルターが装着されていない場合は、エバポレーターのフィンの目詰まりを取り除かなければならない。
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