アイドル回転が高いという平成24年式ムーブ(車両型式LA100S、エンジン型式KF)のトラブル事例を紹介する。
ただし、正常になる時もあるという。
アイドル回転が高い場合は、制御でア
イドル回転を上げているのか、機械的に上がっているのかを確認する必要がある。
どうすればこの切り分けが出来るのかというと、スキャンツールでデータモニタができるのであれば、目標アイドル回転と実際のアイドル回転を見れば簡単に判断できる。
目標アイドル回転が高くて実際のアイ
ドル回転も高い場合は、制御でアイドル回転を上げているという事になる。
よって、この場合の原因は、水温センサーの特性ズレ、エアコンやシフト位置などのアイドルアップ用信号、アクセルセンサーの誤信号が考えられる。
逆に、目標アイドル回転が低いのにアイドル回転が高い場合は、機械的に回転が上がっていることになる。
この場合は、ISCV付の場合はISCVの動き不良(開固着)、Dジェトロの場合はエア吸い、あまり考えられないが、スロットルバルブの開き過ぎ(バルブのひっかかり、ストッパの調整不良、ワイヤー付きならワイヤーの調整不良)等が考えられる。
さっそく、データモニタで調べると、目標アイドル回転は1480回転で実際のアイドル回転は1500回転前後だった。
目標回転自体が高いということは、制御でアイドル回転を上げているという事になる。
原因として考えられる水温センサーの信号を調べたが85℃であり問題なかった。
次はアイドルアップ用の各負荷信号
(エアコン、シフト位置、電気負荷)を調べる必要があるが、これらの目標回転はいいとこ1000回転弱であり、1500回転が目標とは考えられないが、念のため調べてみた。
結果は予想通り問題なかった。
では、他に原因として何が考えられるか?
これらの信号に問題無いのに目標アイ
ドル回数が高い場合、過去の体験から次のことが考えられる。
それは、トヨタ車で経験したVVT(可変バルブタイミングシステム)の
OCV不良である。
アイドル回転時、VVTが進角していると多くはエンストするのだが、どういうわけかエンストもせずにアイドル回転が高い車があるのである。
理由はわからないままだったが、こう
いったトラブルを過去に数十台経験している。
ダイハツ車では未経験だが、OCVを調べることにした。
幸いにも、VVTの変位角もデータモニタ項目にあったので調べると、アイドル状態なのに40度とかなり進角していた。(本来は進角度はほぼ0度)
VVTの油圧を制御するOCVを外してみると、プランジャーは進角状態のままだった。(写真1)
プランジャーを動かすと引っ掛かり気味だった。やはりOCVの不良である。
OCVをキャブクリーナで清掃して組付けると不具合は解消された。
2011年9月号で紹介した「アクセルOFFに発生するトラブル」の原因だったOCVが、全く同じような壊れ方なのに、一方は「減速時エンスト」で、一方は「アイドル回転が高い」という、全く異なる症状になるという不思議な故障であった。
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