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2019年11月
P0606(ECU内部処理装置故障)

エンジン警告灯が点灯し、ダイアグノーシスでP0606を表示するという平成17年式ライフ(JB5、P07A)のトラブル事例を紹介する。

このP0606のコード内容は「ECU内部処理装置故障」ということなので、依頼者の工場で中古だがECUを交換したようだ。

それでも同じだという事で車が持ち込まれた。

症状を確認するために、異常コードを消去しクランキングしてみるとかかりが悪い。

クランキングを何度か繰り返すと、始動性が良い時と悪い時があったが、始動後はエンジン警告灯が点灯し、コードP0606を表示。

ただ、消去後は正常コードになるが、クランキング後は、エンジンの始動性には関係なくP0606を表示した。何度試しても同じ。

修理書を見ると、このコードを表示した時は「ECUリセットを行い、IGキーをOFF、その後ONして40秒待ってDTCを確認」となっていた。

それでもP0606であればプログラムを最新にアップデートする。またはECUを交換となっていた。

修理書の手順通りに行うと正常コードになったが、クランキングすると始動出来ても出来なくてもP0606を表示した。

このP0606が何をもってECU異常と判断するのかの基準がわからないので、これ以上は点検のしようがない。

やはりECUの不良としか思えないので、もう一度交換しようと思ったが、クランキングしないと異常を検出しないのが気になった。

本当にECU不良であれば、コード消去後のキーONでも異常を検出しそうであるが、クランキングしないとP0606は表示しないのである。

ECU不良の場合、ECUのアース不良も考えられるので、このトラブルの前に何かの作業をしなかったかと聞くと、実はタイミングベルトを交換したという。

タイミングベルト交換後に起こったトラブルなので、やはり作業したところが怪しい。

しかし、タイミングベルト交換作業とECU不良は関係ないようにも思える。

あるとすればECUのアースであるが、タイミングベルトの作業でアースボルトは外していないという。

念のため、シリンダヘッド部のアース箇所を確認したが問題なかった。

関係ないとは思いつつも、依頼者の工場でバルブタイミングの再確認は行っていないという事なので、こちらで確認してみると1コマずれていた。

タイミングベルトをかけ直すと正常な状態になった。

バルブタイミングのズレでP0606(ECU内部処理装置故障)を表示していたのである。

なぜ、このコードが出るのかはプログラムの問題なのでわからないが、それにしてもバルブタイミングのずれでこのコードを出すのはどうかと思う。

間違ってECUを交換するのも当然である。

ただ、今回のように整備後であれば、やはり整備したところを疑うべきである。

その後も、同年式のライフでP0606を表示するという問い合わせがあり、先にタイミングベルトの交換の有無を確認すると、やはり交換後からといった返事だった。

こちらも原因はタイミングベルトのズレであった。

確かに原因が分かりにくいトラブル事例だが、共にタイミングベルト交換後のトラブルである。

本来行うべき作業完了後の確認を行えば、このP0606というコードが出なかったはず。

また、共にECUの交換という無駄なこともしなくて済んだはずである。

作業完了時の確認はお忘れなく。

《技術相談窓口》


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