SRS警告灯が点灯し、クロックスプリングを新品に交換したが、DTCが消去できないという、平成16年式ファイター(車両型式PJ-FK61FEZ、エンジン型式6M60)のトラブル事例を紹介する。
DTCを調べると、「67」(D-PTスクイブG1)を記憶していた。
修理書で確認すると、運転席プリテンショナシートベルトのショート故障とあった。
クロックスプリングは、プリテンショナ回路とは関係がないことを相談者に伝えたが、最初はクロックスプリングのDTCしか検出されていなかったらしい。
珍しいが、たまたま故障が重なったのだろう。
気を取り直して、トラブルシュートを開始。
ショートのトラブルの場合、該当するセンサやアクチュエータのコネクタを取り外して、「断線」を示すDTCが新たに出力されれば、センサやアクチュエータ本体のショートと判断できる。
運転席プリテンショナのコネクタを外してDTCを確認したところ、これまでと同じ「67」であった。
結論は、配線のショートである。
厄介なトラブルだと思いながらも配線が折れ曲がっているところや、ボディパネル付近を通っている箇所を中心に点検したところ、意外にも簡単に不具合箇所が発見できた。(図参照)
その部分の配線をボディパネルから少し浮かせてDTCを消去すると、DTCが検出されなくなったことから間違いない。
エアバッグに関することなので、うかつに配線の修復はできないが、先方に許可を得て、配線にテーピングを施し、再度DTCを確認したところ、不具合は解消されていた。
この配線のレイアウトが本来のものなのか、それとも何らかの修理等の処置でそのようになったのかはわからないが、この取り回しは少しいただけない気がする。
もし本来の配線レイアウトだとすると、同じようなトラブルが発生する可能性は非常に高い。
同様のトラブルで入庫した場合には、ぜひこのポイントを点検してほしい。
最後に、これは全ての作業において言えることだが、何らかの部品を脱着する際、配線のクランプを外すことは多い。
年式が古い車になると、脱着の際にクランプが割れたり折れたりし、そのままにしているケースが見受けられるが、これが今回のようなトラブルや、思いもしないトラブルにつながることがある。
配線の途中にあるクランプは、ちゃんとした理由があって設定されている。
面倒でもそのままにせずに、しっかりと処置をすることで、トラブルを未然に防いでほしい。
《技術相談窓口》
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