2016年4月号で紹介した「スキャンツールでは消えないダイアグコード」の第2弾として、正常になってもダイアグノーシスコードが消えないというトラブル事例を紹介する。
【事例1】
ABS警告灯が点灯し、コード22(フロント右のホイールセンサ特性異常)を出力したという平成13年式ジムニー(JB
23W、K6A)。
依頼者の工場で新品のホイールセンサに交換したのだが、スキャンツールで DTCが消せないということで電話相談を受けた。
交換したセンサは不良だったのかと聞くと、確認はしていないとのこと。
ホイールセンサ系のトラブルの場合、センサ以外にも配線やローターに原因があることが考えられる。
ただ、今回の場合、出力異常なので配線よりローター(欠損や異物噛み込み)の方の可能性が高いと思えた。
よって、ローターの点検をしてもらおうと思ったが、その前にこのコードの検出条件がどうなっているのかを調べてみた。
すると、コード表にはこのコードの診断内容とともに、フェイルセーフとその解除のことが書かれており、このコードの制御解除の項目に「スピードセンサが正常復帰し、規定時間以上正常を検出したとき」と書かれていた。(表)
ということは、仮にセンサが原因であっても、センサ交換後にはしばらく走行し、正常な信号が入力されなければ異常コードは消えないという事である。そのことを伝え、しばらく走ってもらったところ異常コードは消えたとのことである。
修理を終えてもその信号が正しく入力されないと消去できないようになっていたのである。
【事例2】
SRSエアバッグ警告灯が点滅するという平成20年式ADバン(VAY12、CR
12)が持ち込まれた。
ダイアグコードを調べると、「現在のダイアグコードの点検」は正常、「過去のダイアグコードの点検」ではコードB
1049(運転席インフレータ断線)を表示。
この2つとは別に、ダイアグノーシスの点検画面に見慣れない「故障履歴の点検」なる項目があった。(写真1)
その故障履歴の点検を行うと、過去故障と同じコードB1049(運転席インフレータ断線)を表示。(写真2)
運転席インフレータまたはスパイラルケーブルの断線を検出したのだろうと思い、一旦、過去故障のコードを消すと警告灯は消え、正常コード表示になった。
故障履歴も消しておこうと「DTC消去」ボタンを押したがコードが消えない。
現在故障も過去故障も正常コードなのに、なぜか故障履歴が消えない。
それに故障履歴表示というものを初めて見たので、これが何を意味するのか修理書で調べてみた。
すると「故障履歴とは、過去にユニットが記憶した不具合箇所を表示する。また、故障履歴表示に記憶された部位は消去できない。」と書かれていた。
つまり、一度でも故障があると、故障履歴は生涯消えないというのである。
ということで、履歴表示は消去できなくても問題なかったようである。
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