今回は、アイドリングストップが作動しなくなったという事例を2件紹介する。
【事例1】
アイドリングストップしなくなったという平成24年式N-BOX(車両型式DBA-JF1、エンジン型式S07A)。
バッテリを点検すると、かなり古かったので交換したのだが、相変わらずアイドリングストップしないという電話相談。
「バッテリ内部抵抗リセット作業」を行いましたかと聞くと、何もしていないという。
ホンダ車の場合、バッテリの内部抵抗が基準値以上になると、アイドルストップ後の再始動が出来ない可能性があるということで、アイドリングストップを禁止しているようである。
よって、バッテリの交換と同時に「バッテリ内部抵抗リセット作業」を行わなければならない。
このリセット作業は、スキャンツールが無くても可能である。(方法については表1を参照)
もちろん、スキャンツールでもリセット作業は可能である。
このリセット作業を行うとアイドリングストップが作動し始めたようである。
今回は、本当にバッテリが原因だったので良かったが、一般的に、アイドリングストップが作動しない場合の点検方法は次の通りである。
まずはダイアグノーシスの点検、バッテリの点検、そしてデータモニタによる点検である。
ダイアグノーシスで、特定のトラブルコード(バッテリ電流センサ系異常等)を検出している場合は、アイドリングストップが作動しないので、まずは、そちらからの点検・修理が必要である。
また、トラブルコードを記憶していない場合はバッテリの点検を行い、悪ければ交換が必要。
ともに正常であれば、次はスキャンツールでデータモニタを点検し、アイドリングストップの作動条件が禁止状態になっていないかを調べる必要がある。
この車の場合、表2のある10項目を調べる必要がある。
このうちのどれかが禁止となっていればそこを点検する必要が
ある。
この中で「アイドルストップ禁止(バッテリ劣化)」が禁止となっていれば、バッテリ不良なので交換が必要である。
交換後は、「バッテリ内部抵抗リセット作業」を行う必要がある。
【事例2】
最近、アイドリングストップが作動しなくなってそのまま乗っているという平成25年式ノート(車両型式DBA-E12、エンジン型式HR12DDR)。
バッテリは2年ほど前に交換しているという。
アイドリングストップしない時の点検方法は、前述のホンダ車とほぼ同じであるが、日産車の場合、データモニタでバッテリ放電電流積算値も調べる必要がある。
調べると、この車のバッテリ放電電流積算値は59135となっていた。
修理書を調べると、バッテリ放電電流積算値は50400以下というのが、アイドリングストップの作動条件となっていた。
よって、基準を超えているので、アイドリングストップが作動しなかったようである。
このバッテリ放電電流積算値は、バッテリを交換した時にはリセットを行わないといけないものである。
しかし、今のバッテリは約2年前に交換しているのだが、その時にリセットしているかどうかは不明。
リセットしてないのであれば、今回リセットすれば、アイドリングストップは作動するのではないかと思われる。
2年前にリセットしたのかが不明なのと、バッテリが年内にも交換時期を迎えそうなので、ユーザーさんに了解をもらい交換することにした。
バッテリを交換し、バッテリ放電電流積算値をクリアするとアイドリングストップが作動するようになった。
最後に、今回、仮にバッテリ放電電流積算値が基準値以下であれば、データモニタで表3にあるアイドリングストップ許可条件を調べる必要があったことを付け加えておく。
この2つの事例のような、バッテリ交換後に何らかの作業が必要なのは、ホンダ車、日産車以外では、トヨタ車とマツダ車である。バッテリ交換時はファイネス等でリセット作業等の確認を行っていただきたい。
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