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2022年12月
ブレーキの効きが弱くなる原因

時々ブレーキの効きが弱くなることがあるという、平成12年式ネイキッド(車両型式GH-L750S、エンジン型式EF-VE)のトラブル事例を紹介する。

話しを聞くと、エンジンがハンチングすることもあるらしい。

どうも二つの不具合はタイミング的に同時に起こっている気がするのだが、何か関連があるのか調べてほしいという依頼。

また、エンジンチェックランプが点灯したこともあり、その際は「73」(VVT制御系)を検出していたとのこと。

まずは試運転をしてみたところ、暖機途中で不具合が確認できた。

アイドリングの回転がかなり高く、若干ハンチングしている。

また、その状況で走行をしていると、ブレーキの効きが弱いと感じることがあった。

いつ不具合が再現しても良いように外部診断機を接続し、データモニタしながら走行していたため、不具合時のデータがばっちり捉えられていた。(写真1、写真2参照)

VVTの進角固着である。

この状態の吸気管圧力を比較すると、不具合時には−120mmhg程しかない。

これでは制動倍力装置への負圧供給が十分と言えず、制動倍力装置の機能が本来の能力を発揮できずに制動力不足と感じても不思議ではない。

なお、VVTの進角固着の原因は、オイルコントロールバルブ内部のピストンの戻り不良であった。(写真3、写真4参照)

エンジンチェックランプが点灯し、「73」(VVT制御系)が検出された場合には、目標変位角の値と実変位角の値を比較するのが一番である。

油圧制御式VVTのトラブル事例は、2011年9月号及び2019年9月号でも紹介しているが、実際に経験した方も多いと思う。

今回はVVTのトラブルとブレーキのトラブルが関連するとは思えずに当会に持ち込まれたのであろうが、車両データを注意深く観察すれば関連性に気が付くことができる。

スキャンツールがかなり普及している今、積極的にスキャンツールを活用して欲しい。

《技術相談窓口》


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