事例@
エンジンチェックランプが点灯し、「P0135」(フロントO2センサヒータ信号系統異常)を検出。
フロントO2センサを新品に交換したのだが良くならないという、平成26年式ピクシストラック(車両型式DBA-S510U、エンジン型式KF)の電話相談。
フロントO2センサの電源は12Vで、ヒータ下流の電圧は約2V。(コネクタ接続状態)
O2センサヒータ下流〜ECU間の導通は問題ないとのこと。
ECU内部のトランジスタがONしたままになっている可能性が考えられると伝えたところ、ECUの交換で良くなったと報告を受けた。
事例A
エンジンチェックランプが点灯し、「P0141」(リヤO2センサヒータ系統異常)を検出。
リヤO2センサのヒータ回路を点検したところ、基準値の約12Ωと問題が無いことから、リヤO2センサを交換して本当によくなるのだろうか?という、平成28年式ハイゼットトラック(車両型式DBA-S500P、エンジン型式KF)の相談事例。
こちらの車両は当会に持ち込まれたため、当会にて点検を実施。
DTCは現在故障で、DTCを消去してもすぐに仮コードのDTCを検出する状態であった。
リヤO2センサヒータ回路の抵抗値は12Ωと問題なし。
キーONエンジン停止時のリヤO2センサヒータの電源は12Vで、ヒータ下流側は約3V。
修理書によると、「キーONエンジン停止時はO2センサヒータの制御は行わない」となっていたため、ヒータ下流側の電圧は12Vでなければならない。
念の為、リヤO2センサのコネクタを外し、センサ側コネクタのヒータ下流端子と他の端子間の絶縁及びセンサ内部でのヒータ図路とセンサ本体とのショートを点検したが、問題はなかった。
また、リヤO2センサのコネクタを外し、ワイヤハーネス側コネクタのヒータ下流端子と他の端子(信号端子)間の絶縁及びボデーアースとのショートを点検したが、こちらも問題はなかった。
よって、センサ本体及び配線には問題が無いものと判断。
O2センサヒータ回路は、ECUがECU内部のトランジスタをON/OFFさせることによって制御を行っている。
制御を行っていない状態というのはトランジスタがOFFの状態であり、表現を変えると、ECUの中でアースにつながる回路を断線させているということである。
というわけで、ここからは修理書に記載されている点検方法ではないのだが、キーOFFの状態でリヤO2センサのコネクタを外し、ワイヤハーネス側コネクタのヒータ下流端子とボデーアース間の導通を点検したところ、23Ωしかなかった。(図参照)
本来の点検方法ではないため基準値などは当然無いが、アースに繋がる回路をECUが切断しているのであれば、抵抗値は無限大もしくは非常に大きな抵抗値を示すはずである。
念には念を入れて、ECU内部回路不良で、ECU内の何らかの電気がO2センサヒータ回路制御用トランジスタのベース電流となってしまっている可能性も考えて、バッテリを外した状態でも点検してみたが結果は同じであった。
このことから、ECU内部ショートと診断した。
後日、ECUを交換して完治したとの連絡があった。
事例@は令和4年12月の問い合わせで、事例Aは令和5年1月の問い合わせである。
短期間に同じハイゼットトラックでECU内部のO2センサ制御回路のトラブル相談を受けたため、今後も同様のトラブルが発生する可能性がある。
O2センサヒータ回路異常のDTCを検出した場合、ほとんどのケースがO2センサ本体不良であるため、特に点検せずにセンサを交換する場合が多いと思われる。
しかし、今回のようなトラブルも十分考えられるため、しっかりと点検したうえで部品交換を行って欲しい。
《技術相談窓口》
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