突然エンジン警告灯が点灯したという平成28年式フィット(車両型式GK3、エンジン型式L13B、走行距離19万km)のトラブル事例について紹介する。
DTC(故障)コードは「P2185:ラジエータ水温センサ電圧高い」と表示するが、コンビネーションメーターの水温表示は良好で、ラジエータの冷却水も減っていないという。
DTCコード表を見ると水温センサを検出するコードは4つが該当した。「P0117:水温センサ電圧低い」「P0118:水温センサ電圧高い」「P2184:ラジエータ水温センサ電圧低い」「P2185:ラジエータ水温センサ電圧高い」があり、水温センサは2個配置されていることがわかった。エンジンブロックに取り付けられたエンジン本体付近を循環する冷却水の温度を検知する水温センサと、クーリングファンを制御するためにラジエータ本体に取り付けられたラジエータ水温センサがある。
今回は後者のラジエータ水温センサ系統の不具合で、センサ電圧が高すぎると判断をしているということになる。
推定原因としてはラジエータ水温センサ、配線、PGM-FI ECUのどれかである。
まずは配線とPGM-FI ECUの良否判定の為にラジエータ水温センサのコネクタを外して、ハーネス側の端子を短絡させ「P2184:ラジエータ水温センサ電圧低い」に該当する状態をつくってみたが、DTCコードは「P2185:ラジエータ水温センサ電圧高い」のまま変化しなかった。
このことから配線かPGM-FI ECUの内部で断線していることがわかった。
確認の為にラジエータ水温センサの単体点検を行ったが導通はあり(サーミスタ式なので温度変化により抵抗値は変化する)断線はしていなかった。
配線はラジエータ〜PGM-FI ECU間まで2本あり、PGM-FI ECUのコネクタを外しそれぞれの配線の導通点検を行うと、ラジエータ水温センサの1番端子〜PGM-FI ECUの43番端子間のセンサ信号線の配線が途中で断線していることがわかった。
断線した配線の修理を行い、DTCコードを消去するとエンジンの警告灯は消灯した。
ラジエータ水温センサ〜PGM-FI ECU間の配線はエンジンルームの中なので断線はしないだろうと思うかもしれないが、断線した箇所をよく見てみると、おそらく小動物がエンジンルーム内に入り込んで配線を噛み切ってしまったのではないかと思われるような跡が見受けられた。
今年の夏は非常に暑かったが、これからの季節は寒くなるにつれて暖かいエンジンルームで小動物が暖をとることもあるかもしれない。
配線が切れている故障はなかなか無いと思うが、今回のように作られた配線の断線もありうることを再認識させられる事例となった。
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