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2025年3月
ブロアファンモータ作動不良

エアコンの風が出たり出なかったりしていたが、最近は全く出なくなったという平成18年式キャリー(車両型式EBD-DA63T、エンジン型式K6A、走行距離16万q)のトラブル事例を紹介する。

走行距離は多いが、車を使用する日は毎日ではなく、使用した時もエアコンを使わない日もあるという。

風が出る日もあれば出ない日もあったが、最近いよいよ全く風が出なくなったとのこと。

年式と症状からするとブロアファンモータの寿命かな、という気はする。

症状を確認すると、ブロアファンSWをLo、Mid、Hiのいずれの位置でもブロアファンモータが回らない。

仮にブロアレジスタが不良であればHiだけは回るはずである。

現時点では全くブロアファンモータが回らないので、まずはヒューズを点検したが溶断はしていなかった。

ヒューズまでの電源も12Vで正常。

次にブロアファンモータの1番端子(電源側)の電圧を測定すると12Vで正常。

ブロアファンモータのコネクタを接続したまま2番端子(アース側)はブロアファンSWをどの位置にしても12Vのままだったので異常。

この状態でブロアファンモータの2番端子からバイパス線でアースに接続するとブロアファンモータはHiの風量で作動したのでブロアファンモータ本体は正常ということがわかった。

次にブロアファンSWのコネクタで電圧を測定を行った。

その結果は、1番端子(アース)はブロアファンSWの位置に関係なく0V。

1番端子からボディアース間の抵抗は0Ωで正常。

2番端子(ブロアファンSWはHi)は12VでNG。

4番端子(ブロアファンSWはLo)は12VでNG。

5番端子(ブロアファンSWはMid)は12VでNGだった。

この結果からブロアファンSWの内部でアース間との断線があると思われる。

内外気切換え、エアミックス、吹き出し口切換えのワイヤーがあるのでブロアファンSWを外すのは面倒だが、取り外して単体点検をしてみた。

ブロアファンSWの2番、4番、5番からそれぞれ1番端子(アース)に対する導通を確認すると、全て∞Ωだった。

ブロアファンSWを分解して接点を磨くとHiだけは出るようになったがLoとMidは作動しなかった。

ブロアファンSWの電圧測定の結果からブロアレジスタの断線は考えられないが、念のためブロアレジスタの単体点検したが全て正常だった。

以上の結果からブロアファンSWの交換が必要であることを依頼があった工場に伝えて返車した。

ブロアファンが回らないという症状があると、悪くなりやすい、交換しやすい、ということからブロアモータから交換してみる人は少なくないと思うが、今回は一番外しにくいブロアファンSWが不良だった。

今までの経験や事例も必要だとは思うが、時間をかけてでもテスターできちんと測定していくことが余計な交換部品を出さず、正確に診断をする一番良い方法である。

《技術相談窓口》



ブロアファンモータ回路図


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