エアコンの風が出たり出なかったりしていたが、最近は全く出なくなったという平成18年式キャリー(車両型式EBD-DA63T、エンジン型式K6A、走行距離16万q)のトラブル事例を紹介する。
走行距離は多いが、車を使用する日は毎日ではなく、使用した時もエアコンを使わない日もあるという。
風が出る日もあれば出ない日もあったが、最近いよいよ全く風が出なくなったとのこと。
年式と症状からするとブロアファンモータの寿命かな、という気はする。
症状を確認すると、ブロアファンSWをLo、Mid、Hiのいずれの位置でもブロアファンモータが回らない。
仮にブロアレジスタが不良であればHiだけは回るはずである。
現時点では全くブロアファンモータが回らないので、まずはヒューズを点検したが溶断はしていなかった。
ヒューズまでの電源も12Vで正常。
次にブロアファンモータの1番端子(電源側)の電圧を測定すると12Vで正常。
ブロアファンモータのコネクタを接続したまま2番端子(アース側)はブロアファンSWをどの位置にしても12Vのままだったので異常。
この状態でブロアファンモータの2番端子からバイパス線でアースに接続するとブロアファンモータはHiの風量で作動したのでブロアファンモータ本体は正常ということがわかった。
次にブロアファンSWのコネクタで電圧を測定を行った。
その結果は、1番端子(アース)はブロアファンSWの位置に関係なく0V。
1番端子からボディアース間の抵抗は0Ωで正常。
2番端子(ブロアファンSWはHi)は12VでNG。
4番端子(ブロアファンSWはLo)は12VでNG。
5番端子(ブロアファンSWはMid)は12VでNGだった。
この結果からブロアファンSWの内部でアース間との断線があると思われる。
内外気切換え、エアミックス、吹き出し口切換えのワイヤーがあるのでブロアファンSWを外すのは面倒だが、取り外して単体点検をしてみた。
ブロアファンSWの2番、4番、5番からそれぞれ1番端子(アース)に対する導通を確認すると、全て∞Ωだった。
ブロアファンSWを分解して接点を磨くとHiだけは出るようになったがLoとMidは作動しなかった。
ブロアファンSWの電圧測定の結果からブロアレジスタの断線は考えられないが、念のためブロアレジスタの単体点検したが全て正常だった。
以上の結果からブロアファンSWの交換が必要であることを依頼があった工場に伝えて返車した。
ブロアファンが回らないという症状があると、悪くなりやすい、交換しやすい、ということからブロアモータから交換してみる人は少なくないと思うが、今回は一番外しにくいブロアファンSWが不良だった。
今までの経験や事例も必要だとは思うが、時間をかけてでもテスターできちんと測定していくことが余計な交換部品を出さず、正確に診断をする一番良い方法である。
《技術相談窓口》
ブロアファンモータ回路図
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