令和2年4月に分解整備の名称が特定整備に変更され5年が経過しようとしている。
現在販売されている新車にはカメラやレーダー等を使用した衝突被害軽減制動装置(自動ブレーキ)、自動命令型操舵機能(レーンキープ)がほとんどの車両に装備されている。このカメラやレーダー等が取り付けられているガラスやバンパーの交換はもちろんのこと、脱着だけでもエーミング作業が必要となっている。
エーミング作業には整備要領書、ターゲット、スキャンツールが必要となる。
特に整備要領書は大事である。
ターゲットの種類、ターゲットを配置する為の寸法、スキャンツールの操作等、全て整備要領書に記載されている。
例としてZVW50系のプリウスのエーミング作業を以下に記載する。
・2018.08以前
《カメラ》
【整備要領書】修理書→エンジン/ハイブリッド/EVシステム→クルーズコントロール→フロントカメラ
【スキャンツールの操作】シャシ→前方認識カメラ→作業サポート
《レーダー》
【整備要領書】修理書→エンジン/ハイブリッド/EVシステム→クルーズコントロール→ミリメータウェーブレーダセンサASSY
【スキャンツールの操作】ボデー→プリクラッシュ2→作業サポート
・2020.07以降
《レーダー》
【スキャンツールの操作】ボデー→前方レーダーセンサ→作業サポート
(カメラとレーダーの整備要領書は2018.08以前と同じ)
ZVW50系のプリウスでは年式違いでプリクラッシュ2→前方レーダーセンサと変わっている。
このように年式が違う整備要領書だとスキャンツールで操作をしても、その名前の項目が出てこなかったり、作業サポートが出てこなかったりするので車検証を確認して正しい年式の整備要領書を見ることが重要である。
もちろん、プリウスでなく別の車両のエーミング作業を行う時は【整備要領書の内容】や【スキャンツールの操作】も異ってくる。
注意事項としてはターゲットを用意できていない状況でスキャンツールのエーミングを開始しないことである。
スキャンツールで一旦エーミングを開始すると、正常に完了するまでエーミング未実施となり警告灯が点灯してしまう。
必ずメーカー、車種、型式、年式が正しい整備要領書とターゲットを用意してからエーミング作業を行わなければならない。
ちなみに単眼カメラのターゲットは整備要領書から印刷できるメーカーもある。数年前は工場の照明の明るさに影響されてエーミングがなかなか完了できないことがよくあったが、現在はカメラの性能も良くなり苦労することも少なくなった。
最近は、走行することで自動でエーミングができる車も増えてきており、スキャンツールを接続し5分から30分くらい走行するだけでエーミングが完了する車もある。
当会への問い合わせでエーミング作業の依頼があるが、当会ではエーミング作業は行っていない。
特定整備の認証を取得した工場の整備主任者の選任に必要な「電子制御装置整備の整備主任者等資格取得講習」(前回は令和7年2月)は行っている。
最後に、各メーカーによりターゲットが違ったり、エーミングのやり方がいろいろあるのでエーミング作業をディーラーへ依頼する事が多いと思われるが、自工場でエーミング作業する場合はバッテリあがりに注意していただきたい。
スキャンツールを操作する条件がIG/ONとなっているメーカーが多いので時間がかかった場合にはバッテリがあがってしまう可能性があるので気をつけてエーミング作業を行ってほしい。
《技術相談窓口》
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