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2026年4月
シートヒータが暖まらない

いつからかはわからないが、シートヒータのスイッチを押しても、運転席、助手席とも暖かくならないという、平成28年式CX-3(車両型式LDA-DK5AW、エンジン型式S5、走行距離78,000q)の事例を紹介します。

一昔前は寒冷地仕様の車でしかシートヒータという装置は付いてなかった気がしますが、最近はハイブリッド車や電気自動車が増えてきたため、シートヒータやステアリングヒータなど、直接体を暖める装置が増えてきました。

今回紹介する車はディーゼルエンジンの車ですが、ガソリン車も同じようにシートヒータ等が装備されている車が増えています。

今回の症状は運転席、助手席とも暖まらないとのことなので、依頼のあった工場では両席に関係する、シート・ヒータ・コントロール・ユニット(以下、シートヒータC/U)と、インジケータ・ユニット(シートヒータのON/OFFスイッチ。3段階の温度調節が可能)を新品に交換したが直らないので見てほしいとのことでした。(構成部品は《配線図》を参照)

まずは基本の電源とアースの確認です。

シートヒータC/Uは助手席の下にあります。

IGN-ON時、シートヒータC/UのA端子、M端子、O端子は12.6Vで正常。

IGN-OFFでシートヒータC/Uのコネクタを外してL端子からボディアース間の抵抗を測定すると0Ωで正常。

次に両席のシートヒータへの出力の点検。

インジケータ・ユニットのシートヒータスイッチをONにした時、I端子とE端子は0VでNGだったので、両席ともシートヒータC/Uが出力していないと判断。

運転席、助手席ともにシートヒータユニット内にサーミスタが入っており、熱くなりすぎないように、ある温度まで暖かくなるとシートヒータがOFFするようになっています。

もし仮にこのサーミスタが抵抗過少になっていれば、実際には暖まってないのにシートヒータがOFFになる可能性があります。

シートヒータC/Uのコネクタを外してH〜F端子間、B〜D端子間の抵抗を測定したところ、両席とも15KΩ。

基準値は整備要領書に記載がありませんでしたが、この抵抗の数値であれば問題ないと思われるので一旦OKと判断。

次にシートヒータユニット内の抵抗を点検。

シートヒータC/Uのコネクタを外してI端子(運転席出力用)〜ボディアース間は約3Ω。

これは《シートヒータユニット点検》にあるようにシートバックとシートクッションの抵抗が並列に入った回路になっているので、基準値から合成抵抗を計算すると正常。

念のためシートバックとシートクッションのコネクタを切り離して、それぞれ単独で抵抗を測定すると、シートバックが4.1Ω、シートクッションが6.7Ωで、基準値から少し外れているが正常と判断。

次にE端子(助手席出力用)〜ボディアース間はほぼ0Ω。

つまり、助手席側シートヒータユニットが短絡していることが分かりました。

運転席側と同じようにシートバックとシートクッションのコネクタを外して、それぞれ単独で抵抗を測定すると、シートバックがほぼ0Ω、シートクッションが6.5Ω。

原因は助手席シートバック内の抵抗短絡でした。

助手席側のシートバックとシートクッションのコネクタを外したままシートヒータをONにすると、運転席のシートバックとシートクッション、助手席のシートクッションのシートヒータが作動しました。

推測にはなりますが、抵抗過少により電流が基準値を超えたため異常と判断し、シートヒータC/Uが出力を止めたと考えられます。

ただ、普通に考えると助手席が短絡しているのであれば運転席だけ作動するのでは、と思ってしまいます。

これはメーカーさんの設計によるものだと思うのでなんとも言えませんが、両席とも同時に作動しないのであれば、共通の部品であるシートヒータC/Uの不良を疑うのも無理はありません。

しかし、時間と手間はかかりますが、配線図を見ながら基本点検をすれば、助手席シートバックの抵抗短絡という不具合にたどりつくことができます。

《技術相談窓口》




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