平成15年10月
効かなくなったブロアモーターの風量制御
オートエアコンのブロアモーターが回らなくなった、'95年式のスカイライン(E-HR33、エンジン型式RB20DE)のトラブル事例を紹介する。
ブロアモーターは、風量を変えるためにモーターに掛かる電圧を変えているが、ブロアスイッチが段階的になっている場合は、レジスターを用いているのに対し、オートエアコンの場合はパワートランジスターによって、無段階に風量を変えている事は、周知のとおりである。(図1)
いずれの場合においても、風量最大の場合はレジスターまたは、パワートランジスターを通らず、直接バッテリ電圧が供給されるので、ブロアスイッチを「HI」にした時に、ブロアモーターが回るかどうかで、モーターおよび回路の良否が大体判断できる。
今回の車の場合は「HI」にしても回らないので、電源回路とモーター自体の点検が必要になる。
そこで、図2に示す回路のオートアンプ19番端子をグランドしてやると、モーターは勢いよく回る事から、ここまでの回路は問題ないと判断した。
回路図をくまなく調べてみたが、「HIリレー」が見あたらない。
メーカー発行の新型車解説書で調べたところ、従来のようなパワートランジスタではなく、『MOS電界効果トランジスタ』と称する物が用いられている事がわかった。
MOS電界効果トランジスタは、パワートランジスタに比べて、内部抵抗による電圧降下が少ないため、HIリレーを必要としないのである。
ファンコントロールアンプの2−3番端子に電圧計をセットして、ブロアスイッチを操作してみると、電圧は2Vから10Vの間で変化した。
以上の点検から、ファンコントロールアンプの不良と診断される。
ファンコントロールアンプを交換すると、ブロアモーターは正常に作動するようになった。
最近の車は電気的に制御される部分の割合がどんどん増えると共に、従来の装置であっても今回のように、その制御が変化している事を思い知らされた。
したがって、この事を知らないと、これまでと同じような判断基準は通用しなくなってしまうので、日々の学習が欠かせない。
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