サーミスターの抵抗値が変化していないのに、図中のA点の電圧が低下するという事は、ECUからサーミスターまでの間に電圧降下が発生していると推測される。
そこで電圧計をサーミスター部分ではなく、それより上流のコネクタ部分のB点にセットしてコネクタを触ってみると、3〜4Vの間で変動していた。
ECUへの信号電圧が約3V以上になると、エバポレータが凍結温度以下になったと判断するので、マグネット・クラッチを切ってしまう。
コネクタの接続を外して、フィメール側端子のかん合状態を点検すると、甘くなっていた。
図3に示す要領でコネクタから端子を抜き取って、甘くなっている部分を修理して組み付けると、コネクタやハーネスをゆすっても電圧が変化する事もなくなり、マグネット・クラッチが正常に作動するようになった。
めったに取り外す事のないコネクタなので、新車の時から多少甘くなっていたものと思われる。
たまにしか症状が出ないトラブルを再現させるには、「温度」「湿度」「振動」の3つの条件を積極的に変えてやる事の重要性を、あらためて認識させられた事例である。
≪技術相談窓口≫
図1 外部診断器でエアコンの制御状態を観測
(上は正常時、下は不具合再現時)
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